JAPAN SENSES日本のすがた・かたち

2018.04.03
老舗温泉旅館風ゲストハウス 別府「山田別荘」

別府、山田別荘。

別府駅の海側、建て込んでいる旧市街のはずれにポツンとある。
約600坪の敷地にうねり重なるように建っている、昭和5年建造の木造建築。
http://yamadabessou.jp
元は保養別荘だったそうだが、度々のリノベーションで「ゲストハウス風温泉旅館」とでも言うか、新しいジャンルの宿にコンセプトを変えている。

もてなしてくれたのはいわゆる女将ではなく、私服のデザイナー風女性(たぶん20代前半)。
iPadで施設の案内、カード決済をスムーズに済ませてから、部屋へ案内してくれた。
途中で宿泊しているらしい東南アジア系の女の子二人組、ヨーロッパ系カップルと会釈する。

風呂は内湯と露天があって、露天は時間貸切制。
さすが別府、と唸らせられるお湯で、弱アルカリ性、ナトリウム-炭酸水素塩泉、溶存物質1,500mg/kgくらい。
たぶん宿泊客の入浴する人数・頻度に対しては湯量が十分で、いつでもフレッシュな状態だったのが素晴らしい。
露天は坪庭スペースへ上手に湯船をレイアウトしてあり、老舗ながらも清潔感を大切にした空間演出で、「ああ、あちこち工夫してるなあ」と気分がよくなる。

夕食は同じく旧市街にある大和田鮨で郷土料理・食材の勉強会。
きらすまめし、りゅうきゅう、肝和え、アジ南蛮、関アジ・関サバほか。
きらすまめしは刺身と味付けしたおからを和えたもの。初めて食べたが素朴でけっこうハマりそうな滋味深さ。
関サバはやはり絶品。関アジはどうしても沖合回遊型(クロアジ)の範疇を超えないか。。歯ごたえはいいんだけど。。

帰ってくると玄関前にはちょうど満開の桜の木。
夜のラウンジから眺める夜桜は、海外の人にも心に残る風景になりそう。

熱すぎてそのままでは入浴することができない源泉のお湯を、温泉の“泉質”や“鮮度”を損なうことなく加水なしで冷ます「湯雨竹(ゆめたけ)」。なんと別府のひょうたん温泉で誕生したらしい。小浜温泉(長崎)でも見かけた気がする。

貸切露天。奥に湯雨竹が見えて風情がある。お湯もフレッシュ、広々としていて好印象。

夜のファサード。玄関も正面に桜の木が満開であった。

入ってすぐのロビーから表の桜の木を眺める。チェックインの手続きもここで。コーヒーとお茶がフリードリンク。

玄関の様子。古さをうまくそのままに、でも清潔感はしっかりと。お手入れのちから。

内湯。夜になるとややコワイが、お湯そのものは興奮するぐらいに素晴らしいアルカリ泉。溶存物質量も2000mg/kgくらいあった気がするので、なかなか濃厚な湯だ。

夜はちょっとコワイかもね。

大和田鮨。こちらはお通しの「きらすまめし」。ブリの切り身に味付けしたおからを和えたもの。これがうまかった。

こちらも大分の郷土料理「りゅうきゅう」。お店によって全然味付け、仕上げ方が異なるのが面白い。切り身が大ぶりで、今まででは一番好きな味だった。

肝和え。フグの湯引きに、肝はカワハギかな?よく混ぜていただきます。サッパリさの中に時々濃厚な旨味が。日本酒が進む味。

アジの南蛮漬けを頼んでみたら、思っていたのとちょっと違った。こっちは豆アジじゃないのですね。

左から、関アジ、関サバ。握りというよりはおにぎり的なダイナミックさ。

地魚でまとめて握っていただいた。関サバが断然美味しかったかな。