数ヶ月前に福井県の小浜を訪れたばかり。ここ長崎県にも小浜という地名がある。
長崎空港から高速バスで1.5時間ほど。
島原半島の西側に小浜、雲仙普賢岳を挟んで東側が島原。
島原といえばいつか歴史の教科書で習った天草四郎、隠れキリシタンたちの「島原の乱」だ。
半島に住む人々の半数以上が反乱に参加したという。
豊穣な海・橘湾に面する小浜温泉は、海辺の温泉街の様相。
背後にある山のあちこちから湯けむりが登っているのが見える。
別府の山々を思い出す。雲仙普賢岳が生きている証拠だ。
温泉街から一本山側に入った細い旧道沿いに、「旅館 國崎」はある。
長崎県唯一の「日本秘湯を守る会」会員宿だ。
積み重ねた年月を感じさせるやや鄙び系の店構えだが、それがいい。
ちょっとした絵画や民芸のあしらいが心を和ませてくれる。
飲泉用の湯口もあるのが嬉しいが、泉温が高いため柄杓で飲むのは少し難易度が高い。
こちらの宿は3つの貸切風呂が名物である。
二階の客室が並ぶ廊下に、使用中の貸切風呂を知らせる信号システムがあった。なかなか便利だ。
100〜105度に及ぶ高温泉は、熱交換により適温まで下げられて源泉100%かけ流しで湯船に投入されるため、劣化は最小限。
ちなみに小浜温泉は「日本一熱量の多い温泉」として知られるようです。
特に気に入った貸切風呂が、どっしりと重量感ある「ひのき風呂」。
木の肌触りが心地よく、しばらく浸かっていると湯に溶けた二酸化炭素が肌に泡付いてくる。
フレッシュな温泉の証拠だ。
玄関脇にある「石風呂」はこじんまりとしているが空間の作り方がうまく、隠し部屋にいるようなワクワク感。
ちなみにこの石風呂のみ、帳場が近いからか浴室内から冷酒をオーダーすることができる。
とはいえ最近は昼にアルコールを飲むと一日ダレてしまうので、昼酒は自重している。
とはいえ酒呑みには喜ばしいサービス。
食事は長崎ならではの食材を楽しめた。
「がんば」はシロサバフグの意だが、刺身と煮付けでいただいた。
厚切りでコリコリとした身質は全くトラフグやマフグに劣らない。むしろ味わい深く印象的。
そのほか豚しゃぶがかなりうまかったか。もちろん橘湾の恵みは総じてレベルが高いものだった。
手づくりの箸置きがほのぼのとして心を和ませてくれる。
滞在を終えて、雲仙普賢岳を越えて島原へ。
島原では老舗定食屋で「皿うどん」「具雑煮」と郷土料理の甘味「かんざらし」をいただいた。
気がつけば長崎滞在中は麺類ばかり。
大丈夫だろうか。熊本ラーメンが控えているというのに。
有明海をフェリーで抜け、熊本へ移動する。