FURUSATO JOURNEY故郷を探して

2019.04.27
北国の春の音連れ、青森・弘前の旅 ​

春の青森は初めてだった。
北国にはどうも冬に足が向く癖がある…その土地が一番厳しい季節にこそ人々の知恵と工夫、美しさが見られる。長岡時代、そう何度か教わったからかもしれない。
今回はとある展示施設の改修計画の相談があって、現地の視察で訪れる用ができたのだった。

青森空港に降り立ち、リムジンバスに乗って青森市街へと向かう。
途中、ちらほらと残雪、そして伸びやかなふきのとうが目に付く。東京は桜が散り始めだったけど、こちらはまだ春の訪れの時期。
青森の春といえばトゲクリガニ、メバルのイメージ。
青森駅前、アウガの地下に陣取る市場で魚の様子をチェックする。もともとの市場をここにまるごと移設してきたのだ。青森弁でいう「カッチャ」たちが前を通りかかる客に声をかける。(聞き取れない…)
魚種は実に豊富でソイ、ハタハタ、メバル、ヤリイカ、アンコウ、マグロ、タラなどが並んでいる。ナマコも柔らかくてうまそうだ。モズクも地のものが出ている。トゲクリガニもたくさん鎮座していた。
とりあえず腹ごしらえと市場内の食堂で中落ちとソイの二色丼、あとイカ刺しをお願いする。
特産のヤリイカやマグロも美味かったけど、旬のソイのあまりの美味さに震えた。フワッフワでほどよい脂と旨味がグッと乗った白身。イシナギに似てる感じもする。前日の二日酔いがみごとに吹き飛んだ。

話は変わるがアウガといえばコンパクトシティの失敗代表例みたいな不名誉な事例として有名で、商業の採算見通しが甘いままに立ててしまい、開業前に入居予定だった西武が手を引いてしまい、苦肉のテナントも長続きせず、結局今は図書館と役所が入居。

青森駅の近くにはいくつかの施設がある。「ねぶたの家ワ・ラッセ」は大空間の中に過去のねぶたがそのまま展示されている大迫力のミュージアム。世界最高のペーパークラフトと紹介されるのも納得のクオリティ。ねぶたにかける青森の人々の情熱がにじむ大変素晴らしいミュージアムだった。

次に寄ったのがJR東日本が出資する「エーファクトリー」。今のところスーベニアでは日本最強ではないだろうか。ホタテ、十三湖しじみ、嶽きみ、青森カシス、田子にんにく、八戸前沖サバ、ごぼう、長芋、青天の霹靂、南部せんべい、海藻類、りんごやゼネラルクリークなど郷土の食材も魅力的なものが多い上に、商品化やブランディングのセンスもずば抜けてる。
施設も複合型でシードル工場&スタンド、ジェラート、ガレットのレストランが併設されていてうっかり2時間くらい滞在してしまう。
さらに5分くらい歩いたところに青函連絡船「八甲田丸」の内装をミュージアム化したものがある。青函連絡航路が開拓されるまでの苦難や、当時の青森の人々の暮らしを描いている。等身大シーンジオラマがなかなかいい雰囲気。明治・大正・昭和期の古写真もたくさんあって、雪にまみれながら市場で元気に買い出しをする親子の姿があった。

翌日は弘前へ移動。
長岡MANOで知り合い、現在は箱根本箱で腕を振るう佐々木シェフが修行したお店、「オステリア・エノテカ・ダ・サスィーノ」へどうしても行ってみたかったのだ。
玄関には満席とあったが、終わってみれば客は僕たちだけ。貸切になってしまったみたいだ。
お任せコース、トゲクリガニから始まりキンキン、ウニとフノリのパスタ、馬肉と続いていく。
一番驚愕だったのはサスィーノブランドの赤ワイン。
表現する方法がなくて恥ずかしいが、うっとりする花みたいな芳醇な香り、味わいもジューシーで輪郭のころんとしたミディアムボディ。国産のワインでは今まで飲んだ中では一番美味しかった。弘前以外では箱根本箱に置いているだけだそうだ。これはぜひいろんな人に飲んでほしいワイン。

意外と探索する機会がなかった青森駅、弘前駅の近辺。
じっくり探索できていろいろ発見もありました!

青森空港を降り立ってリムジンバスで青森駅へ。4月下旬だけどまだ残雪あり。

仕事の舞台はアスパム青森の中にある、とある施設。

青森駅前、アウガの地下にある市場を訪れる。まずは腹ごしらえで、市場の中にある「寿し三國」へ。午前中ながら酔っ払っている方達もいます。

ミナミマグロと真ゾイの二色丼。フワフワで脂も乗ったソイのうまさに悶絶。

ヤリイカの造り。これはまあまあ、かな。

ねぶたの家ワ・ラッセ。個性的な外観。建築設計はMolo Design、d/ dt Arch、 Flank la Riviere Architectsとのこと。

ねぶたにかける青森の人々の情熱が伝わってきます。言葉が強くて良い。

ねぶたの歴史を追っていく展示も。禁止令なども出たりした。

細い通路を抜けていくと現れるねぶた。大空間にねぶた実物が浮かび上がる。とってもドラマチック。

大きさは正義。

ねぶたはいろんな歴史人物や神話がモチーフになっている。その構想にも大変な時間をかけるそうだ。

かつての明かりはロウソクでとっていたという。それが白熱灯に代わり、今ではLEDに。技術進化とともにねぶたもどんどん変わっていく。

細かいところまで見ていくとまた発見がある。絶妙なボカシや透かしの技法が見つかる。

まさに世界最高のペーパークラフト。

鯉は滝を登って龍になる。好き。

ねぶた職人さんによって技法が大きく異なる。女性の職人さんもいる。その違いをみていくのもなかなか楽しい。

こちら、エーファクトリー。倉庫みたいな空間にショップ、シードルバー、ガレット屋さんなどがレイアウトされている。

ディスプレイもお上手。

青森といえばイワシとサバ。おしゃれなパテになっていた。

洋梨の一種、ゼネラルクラークのコーナー。パッケージがいけてます。

階段を上がるとガレット屋さん。

弘前へ移動してサスィーノへ。満席との看板だったが、どうやら貸切にしてくださった様子。

トゲクリガニのスープとリエット。毛ガニのような味わい。

フレッシュなモッツァレラチーズ。笹森シェフが黒トリュフを削ってくれた。

生ハム。

鳥レバーのペースト。

地物のウニとフノリのパスタ。

ラビオリ。中に入っていた肉の種類は失念…。

オリジナルの赤ワイン。詳しくないがこれまででいちばんくらいに美味しいことだけはわかった。

きんきん、とは青森での地方名。キンキとかキチジが馴染みのある呼び名。

馬肉のグリル。

ドルチェ。

笹森シェフありがとうございました!