POWER OF SPRING温泉力をもらいに

2018.12.16
静寂に包まれる水墨画の世界「大沢山温泉・大沢館」

越後湯沢から上越線に乗り換えて10分ちょっと。
大沢駅から車で5分くらい山をのぼったところに、水墨画の世界に入ったような大沢山温泉・大沢館はある。
北野映画「HANA–BI」にも出てきた露天風呂は雪景色とも相まって素晴らしい風情。静寂が印象的だった好きな映画。
岩が溶けたような香りがする特別感たっぷりのお湯は大変好み。

こちらの面白いところで、館のあちこちにつまみ食いコーナーがある。
囲炉裏で焼く餅とおにぎり、お風呂の途中にあるアイスクリーム、温泉水に浸かったこんにゃくを掬って食べる味噌田楽、甘酒、流水に冷えたりんごなど。
食べ過ぎてしまうと後に響くので、ちょっとずつだけ。

夕餉は雪国のおもてなし料理。
途中、主人が挨拶がてら八海山の原酒をふるまい酒として注ぎに来てくれる。
素朴だけどダイナミック。田舎のサービスの気持ちいいところ。

電気を消して分厚いふとんにもぐり込む。
降りしきる雪が人工の音を飲み込んで、時間が深まるにつれて限りなく無音に近づいていく。
ドドドドドっと、時おり屋根から滑り落ちる雪の音。
震動を数えているうちにいつの間にか眠りに落ちていた。

越後湯沢駅から上越線で10分ちょっと、大沢駅まで。数日前から一気に降り始めた雪で外はすっかり銀色の世界だ。

無人の大沢駅までは送迎車を出してくれる。大沢山温泉は3軒あって、駅前の幽谷荘、里山十帖、そして大沢館。どこも源泉は同じ幽谷荘のものだそうだ。

5分くらい山を登ると大沢館の館山見えてくる。中央に見えるのは内湯。薄暗い雪国の夕景にほのかな灯りのマッチングはなんとも心惹かれる風情。

正面玄関。日本秘湯を守る会の提灯が下がっている。立派な庄屋造りの建物。

玄関を入って土間のすぐ左手、チョロチョロとかけ流される山の湧き水で冷やされたリンゴが。傍にはまな板と包丁が置いてあって、自由に食べていいとのこと。

土間は天井が高くて開放的。リンゴの水槽からチョロチョロ流れる水の音が空間全体に響いていて、なんだかとても心地いい。こういう音響設計すてき。

廊下、古き良き旅館といった雰囲気。洗面・トイレは共用。

変わったところとしてアメニティセットにヘチマと軽石が入っていた。初めてのパターン。

露天風呂に向かう渡り廊下。細かい雪が吹き付けてくる。

渡り廊下の途中にはアイスクリームが入った冷凍庫がある。これも風呂上がりに自由に食べてくださいとのこと。ただ夕食前には控えておかないと…。

渡り廊下を反対側から見る。露天風呂の手前だけ床面が面白いデザインになっていた。下はとても冷たそうな水なので、酔っ払って落ちたりしたら大変なことになりそうだ。

露天は外の風景とも相まって素晴らしい。泉質も適度なヌメリがある満足感の高いお湯。好みがありそうだけど、何より香りが素晴らしい。岩が溶けてそのままお湯になったような…。

時間が深まるにつれてどんどん雪が激しくなってくる。時折屋根から落ちてくる雪に驚かされる。

こちらは内湯の入り口。

内湯も大窓が二面取ってあって大変素晴らしい眺め。泉質はどちらも同じ印象。

おやつコーナーその3。左側は甘酒、右側は田舎味噌。さらに隣を見てみると…

温泉がかけ流された石の浴槽にこんにゃくが漂っている。このこんにゃくを掬って、隣の味噌をかけて、味噌田楽として食べるということらしい。

夕飯前なので、ほんのちょっとだけ。ホカホカの味噌田楽美味しかったです。

大沢館の周りはすっかり水墨画の世界。

夕食は雪国のもてなし料理。左下にあるグラスに八海山のしぼりたて原酒をなみなみ注いでくれる。

食事と一緒に出してくれたかす汁がしみじみうまかった。ブリあらで出汁を取っているかな?右上の葉っぱの下には今年も高値止まりだった筋子。

囲炉裏でいろいろお話ししてくださった大沢館の御主人。角栄の時代に元役場勤めだったが脱サラして大沢館をつくりあげる。なんて半端ないパワーとセンスだ。

チェックアウト後、御主人が大沢駅まで送ってくださった。素晴らしいお湯と環境。里山十帖とくっつけたりして是非また伺いたいと思った。どうもありがとうございました!