越後湯沢から上越線に乗り換えて10分ちょっと。
大沢駅から車で5分くらい山をのぼったところに、水墨画の世界に入ったような大沢山温泉・大沢館はある。
北野映画「HANA–BI」にも出てきた露天風呂は雪景色とも相まって素晴らしい風情。静寂が印象的だった好きな映画。
岩が溶けたような香りがする特別感たっぷりのお湯は大変好み。
こちらの面白いところで、館のあちこちにつまみ食いコーナーがある。
囲炉裏で焼く餅とおにぎり、お風呂の途中にあるアイスクリーム、温泉水に浸かったこんにゃくを掬って食べる味噌田楽、甘酒、流水に冷えたりんごなど。
食べ過ぎてしまうと後に響くので、ちょっとずつだけ。
夕餉は雪国のおもてなし料理。
途中、主人が挨拶がてら八海山の原酒をふるまい酒として注ぎに来てくれる。
素朴だけどダイナミック。田舎のサービスの気持ちいいところ。
電気を消して分厚いふとんにもぐり込む。
降りしきる雪が人工の音を飲み込んで、時間が深まるにつれて限りなく無音に近づいていく。
ドドドドドっと、時おり屋根から滑り落ちる雪の音。
震動を数えているうちにいつの間にか眠りに落ちていた。