新潟県は三条市の奥にある「嵐渓荘」はとても大切な秘湯宿だ。
遠藤ケイさんに紹介していただいた宿であり、日本秘湯を守る会で初めて訪れた宿。
なんども通ううちに若女将はじめ宿の皆さんとも馴染みになり、わがままをたくさん言うのでいつも面倒をかけていると思うのだけど、それでもいつもあたたかくもてなしてくれる、人生の休息地みたいな場所だ。
思い入れが強すぎて、好きなところを整理して綴れないのが歯がゆい。
何より素晴らしいと思うのは食事だろうか。
若いうちからあらゆるジャンルの調理を経験し、飲食の最前線で活躍してきた超一流の料理人が、ふとした何かをきっかけに山奥の秘湯宿に引きこもった。もう切った貼ったは面倒だ、これからは自分のために時間を使おう…。
毎日変化する山や川の素材との出会いや交流を重ねながら、これまで気づかなかった多くの発見をする。一つひとつの食材の力をシンプルかつ最大限に引き出す方法を見出していく。
ビジュアルはいたって素朴で、さりげなく、どこかとぼけたようでもある。だけど、そこで表現されている味わいは間違いなく超一流料理人のアウトプット。肩肘貼らず、自然体で、地のものを。
そんなストーリーが勝手に頭に浮かんできてしまう、素晴らしさがあると思う。
冷鉱泉を温めている温泉は、溶存物質15,670mg/kgを超える超濃厚さ。
立って入れる露天、石造りの露天ともに身体にじわじわ働きかけてくるのがわかる。真冬に雪を眺めながら、「露天で一杯セット」で雪見酒を楽しむのもたまらない楽しみ方だ。
ちなみにかつて海だった頃の名残りだろう、かなり塩辛い温泉だ。これを活かした「温泉粥」が朝食に出るが、これも昆布だしのようなほのかな塩気が効いていて名物となっている。また、ラウンジで飲泉することも可能。
近くには八木茶屋の「山塩ラーメン」、景勝「八木ヶ鼻」、道の駅漢学の里、そしてもはやグローバルなスノーピーク、マルナオ、諏訪田製作所などの元気な企業も揃っている。
魅力たっぷりなこの下田地域。やはり語りきれないので、あとは右の写真をご覧ください。
年に一回は必ず訪れる心のふるさと。これからも大事にしていきたいものです。