POWER OF SPRING温泉力をもらいに

2018.05.20
夢の途中。長湯温泉「宿房 翡翠之庄」

大分駅から車で1時間のところに竹田・長湯温泉がある。
先日ラムネ温泉館を訪れてすっかり自然湧出の高濃度炭酸泉に魅了された僕たちは、同じエリアにある温泉宿「宿房 翡翠之庄」を目指した。

出発前に宿を探しているときに見たWEBサイト。
御主人の強すぎる想いと個性が漂っていた。
すごくユニークで素晴らしい世界観に仕上がっていることが多いが、たまーに空回りしまくってる場合がある。
http://www.s-kawasemi.com
ダンジョンの隠し扉の先に見つけた宝箱を開けるような気分で、予約の電話を入れさせてもらった。
基本的にこういう宿は大好物である。

立派な門構えのファサード。
居室はおそらくすべて離れで、地元の職人さんによる土間付き古民家建築。囲炉裏もある。
土地が有り余っているからか、贅沢すぎるゆったり感だ。
大窓の外には大小さまざまな野鳥がときおり挨拶に来てくれる。だいぶ山奥で、崖の下にはダムがあるようだ。

温泉はラムネ温泉館と同じ高濃度炭酸泉ではあるが、お湯を長距離引いてきているからだろう、シュワシュワ感は特にない。
とはいえ成分の濃厚さはよくわかる。
大浴場が男女ひとつずつと、貸切風呂が3つ。客室数に対しては十分すぎる湯量、浴室数。
温泉に向かう途中には御主人からの飲み物の差し入れがある。わかりやすく粋である。
湧水にさらされた野菜たちがピンピンしていた。これが夕食に出てくると思うと気分が高まる。こういうところは上手。

驚かされたのが食事。
ここでは「エノハ料理」を目玉としている。エノハとはこちらの方言でヤマメやアマゴなどの川魚を指す。
結構大雑把な感じかと思いきや、郷土料理のニュアンスは残しながらもしっかり洗練されてモダンなコース。
野菜が多く、味付けもぜんぜん濃くない。普通のお客さんは物足りないんじゃないかと思うくらい。
都会で切った貼ったのシェフ生活をやり抜いて、とうとう還暦。
あとは田舎に帰って、地物の食材で、自分の好きな料理だけ作ろうか…
そんな熟練のシェフの姿が思い浮かんだ。
特に覚えているのはエノハの造り、そして締めで出てきたエノハ茶漬け。
エノハは山の湧水で育てたものらしく、シーズンではないはずだがとっても滑らかで脂も美味しかった。ヤマメの刺身では過去最高。
そしてエノハ茶漬け。エノハの燻製をほぐしてお茶漬けに。これはじわじわハマる。

一泊だけだったけど、自信を持ってオススメできる素敵な宿でした。
独特の世界観もフィットできれば面白いはず。随所ににじむこだわりは、男としてすごく共感できるし、羨ましくもある。
離れなのでファミリーでも行きやすいんじゃないかな。

ロビーラウンジ。あちこち黒光りしている。ちょっと独特なゴージャス空間。

居室。火鉢が見える部屋は冬に楽しいかも。

温泉に向かう。敷地はだいぶ広くて、まだ拡張中っぽかった。これからも部屋や風呂を増やすと思われる。

貸切露天。眼下には湖がちょっと見える。野鳥や昆虫と仲良くなれそうだ。

ラムネ温泉のほぼ透明なお湯とは違って、少し黄土色っぽく濁っている。シュワシュワ感、香りはそれほどなかった。

こちらは光源という貸切風呂、内湯のみ。

風呂上がりに部屋へ戻る途中に発見。主人からおごってもらえる。ビールを飲むとフラフラになるので我慢。

湧水で野菜を冷やしている。

涼しげで、かつ夕餉が楽しみになるプレゼンテーション。

左手に見えるのは星見台。主人はおそらくロマンチストである。

夕食のメニュー。「直入エノハ」という文字があちこち見られると思う。直入はここら辺の地名、エノハはヤマメやアマゴのこと。この日はヤマメだった。

前菜。華やかな見た目の一方、味付けは穏やかで滋味深い。ここで料理人さんの腕に驚く。

エノハ造り。下に氷の山があるが、実は切り身がこの中に埋められた状態で給された。

造りの後に残ったあらは唐揚げにしてくださった。美味しい。序盤だから食べれたけど、終盤にもエノハ塩焼きと唐揚げが出ることを思うと控え目にしておけばよかった。

高原野菜のサラダ。湧水で冷やされていたものがちらほら見える。素材そのままな感じで秀逸。

エノハ塩焼き。この後唐揚げもきたが、骨せんべいの後にはちょっと厳しかった。

ちょっとだけステーキ。赤身なのが助かったけど、これがなくても十分に満足できるはず。次回は遠慮しよう。

エノハ茶漬け。これは秀逸。薫香漂うエノハの身がじんわりうまい。

奥が厨房。少しだけ覗いて見たら、みなさん結構なベテランさんばかり。

朝食。こちらも丁寧なお仕事ぶり。量はもうちょい少なくてもよいかな。