「宍道湖七珍(しんじこしっちん)」と言う言葉を知っている人が一体どのくらいいることやら…
今回島根を訪れた大きな目的のひとつに、「宍道湖七珍」を食べる、というのがありました。
「七珍」とは、汽水湖である宍道湖で伝統的に収穫される7種の水産物のことを指します。
ヤマトシジミ、スズキ、モロゲエビ(手長海老)、シロウオ、ウナギ、アマサギ(ワカサギ)、コイ。
汽水域にコイが含まれているのが不思議に思う方がいるかもしれませんが、宍道湖は海からとても奥まった湖で、海に近い東側から、斐伊川に近い西に向かうに連れて塩分濃度が顕著に薄くなるのです。このため、湖の西側に近いエリアではコイも漁獲されるそうなのです。
さて、この宍道湖七珍をどこで食べようか、吟味を重ねた末に選んだのが松江の郷土料理屋「川京」さん。
とにかく個性的で味にはまっすぐな店が好きなのですが、その期待に違わぬ素晴らしいお店でした。
お願いしたのは宍道湖七珍+島根半島の刺身のコース、3980円。
出てきたものを順番に書いていくと…
①突き出し 山陰特産・芽のは、干ホタルイカ、おかか茶豆
②ウナギのタタキ
③おたすけシジミ
④蒸しウチワエビ、ベニズワイガニ
⑤カメノテ、バイ貝の刺身
⑥刺身の盛り合わせ ハガツオ、チヌ、ヒラマサ、サザエ
⑦スズキの奉書焼
⑧モロゲエビの素揚げ、赤てん素揚げ
⑨シジミのおじや、お漬物
⑩季節のフルーツ
どれも非常にユニークで美味しかったです。(お料理のことは個別のキャプションにて)
七珍のうち、四珍をいただくことができました。
料理の合間に大将のステージタイムっぽく、解説が入ります。
「精がつきまくっちゃうから!寝不足に気をつけてね!」
ウナギを出しながらカップルをいじったりしてくれます。
日本酒は地酒の「七冠馬」「やまたのおろち」「奥出雲のどぶろく」。どぶろくは4杯くらい飲みました。
お酒を提供してくれる際に季節の植物を使ってささやかなあしらいをしてくださる。
郷土料理の店らしい、人間的な心遣いがとても嬉しかった。
お店に立たれているのは大将のご夫婦と、若女将(娘さん)。
3人で力をあわせて、明るく、真面目に、丁寧に切り盛りされている様子に心が和みました。
予約を入れたお客さんは最初からずっと名前で呼んでくださるし、お店と客の距離感を大事にしてるんだなあ、と。
お茶目な大将はこの店の太陽で、それを支える女性二人の美しさと強さもまた垣間見えてくる。
大将、帰り際は雨の中タクシーを止めに走ってくださってどうもありがとう。
「またきてね!待ってるよ!だんだん!」
出雲の言葉がとってもあたたかく心に沁みました。