SAKE FOR CREATIVE頭を遊ばせる時間

2016.10.08
宍道湖七珍!郷土料理「川京」

「宍道湖七珍(しんじこしっちん)」と言う言葉を知っている人が一体どのくらいいることやら…
今回島根を訪れた大きな目的のひとつに、「宍道湖七珍」を食べる、というのがありました。
「七珍」とは、汽水湖である宍道湖で伝統的に収穫される7種の水産物のことを指します。

ヤマトシジミ、スズキ、モロゲエビ(手長海老)、シロウオ、ウナギ、アマサギ(ワカサギ)、コイ。

汽水域にコイが含まれているのが不思議に思う方がいるかもしれませんが、宍道湖は海からとても奥まった湖で、海に近い東側から、斐伊川に近い西に向かうに連れて塩分濃度が顕著に薄くなるのです。このため、湖の西側に近いエリアではコイも漁獲されるそうなのです。

さて、この宍道湖七珍をどこで食べようか、吟味を重ねた末に選んだのが松江の郷土料理屋「川京」さん。
とにかく個性的で味にはまっすぐな店が好きなのですが、その期待に違わぬ素晴らしいお店でした。

お願いしたのは宍道湖七珍+島根半島の刺身のコース、3980円。
出てきたものを順番に書いていくと…

①突き出し 山陰特産・芽のは、干ホタルイカ、おかか茶豆
②ウナギのタタキ
③おたすけシジミ
④蒸しウチワエビ、ベニズワイガニ
⑤カメノテ、バイ貝の刺身
⑥刺身の盛り合わせ ハガツオ、チヌ、ヒラマサ、サザエ
⑦スズキの奉書焼
⑧モロゲエビの素揚げ、赤てん素揚げ
⑨シジミのおじや、お漬物
⑩季節のフルーツ

どれも非常にユニークで美味しかったです。(お料理のことは個別のキャプションにて)
七珍のうち、四珍をいただくことができました。
料理の合間に大将のステージタイムっぽく、解説が入ります。
「精がつきまくっちゃうから!寝不足に気をつけてね!」
ウナギを出しながらカップルをいじったりしてくれます。

日本酒は地酒の「七冠馬」「やまたのおろち」「奥出雲のどぶろく」。どぶろくは4杯くらい飲みました。
お酒を提供してくれる際に季節の植物を使ってささやかなあしらいをしてくださる。
郷土料理の店らしい、人間的な心遣いがとても嬉しかった。

お店に立たれているのは大将のご夫婦と、若女将(娘さん)。
3人で力をあわせて、明るく、真面目に、丁寧に切り盛りされている様子に心が和みました。
予約を入れたお客さんは最初からずっと名前で呼んでくださるし、お店と客の距離感を大事にしてるんだなあ、と。
お茶目な大将はこの店の太陽で、それを支える女性二人の美しさと強さもまた垣間見えてくる。

大将、帰り際は雨の中タクシーを止めに走ってくださってどうもありがとう。
「またきてね!待ってるよ!だんだん!」

出雲の言葉がとってもあたたかく心に沁みました。

郷土料理屋さんらしすぎる店の顔立ち。すでにこの時点で120点をあげたい。

一歩入るとこんな魔窟が広がっている。期待感はマックスだ。

いちいち面白い主人の手書きメニュー札。情報量が多い。

宍道湖七珍、まずはここから。

すずきと川海老。

うなぎ、あまさぎ。

しろうお、鯉、大和しじみ。

おつまみもよく見ると個性的。変わりなっとうは、爆弾みたいなものか?

突き出し。ホタルイカ、枝豆、芽のは(ワカメ)。芽のははパリパリしてうまい。枝豆は茹でた後におかか醤油で味付けしてある。甘辛く美味しい。

お冷やでやまたのおろち。こういう演出はとてもうれしい。マスの角には塩が盛ってある。

ウナギのたたき。蒸したウナギをネギと味噌でたたいてあるのかな。日本中にファンが多いらしい。

料理が出てくるたびに、拡声器を握った主人のプレゼンテーションが始まる。店にいるお客さんを一気に巻き込んでいくエンターテイナーだ。

奥出雲のどぶろく。美味しくて、ついつい5〜6杯。

おたすけしじみ。宍道湖でとれる大和しじみのうま煮、といったところか。タレを残しておくように伝えられる。あとでおじやになって出てくるらしい。

蒸したウチワエビ、ベニズワイガニ。この日、一番うまいと思ったのはこのベニズワイガニ。味が濃くて衝撃。ここまでとは。

茹でバイ貝、カメノテ。磯の香りがうれしい。

ハガツオ、ちぬ鯛、ヒラマサ、サザエの刺身。ハガツオに柚子胡椒がうまかった。

スズキの奉書焼。江戸時代から伝わる松江を代表する伝統料理。当時の殿様に献上するために、焼き炭がつかないよう奉書に包んで焼いたらしい。

紙をひらくとスズキが登場。この日二番目に衝撃だった味。蒸したスズキが絹のような身質で、脂も上品な甘さ。また食べたい。

食事を終えて、女将、若女将。郷土の衣装がすてきだ。

大将、見送りまでどうもありがとう。楽しかったよ。

だんだん!また来ます。