FISH DREAM魚に魅せられて

2018.08.23
竹崎カニ尽くしの宿「たら竹崎温泉・海上館」

有明海特産物のひとつに、佐賀県太良町が誇る「竹崎カニ」がある。関東で言うところのワタリガニである。
有明海の広大な干潟に棲む栄養たっぷりのプランクトンを食べるため、格別な甘みがあると言われている。サイズも30cmを超えるとか。

どこで食べるか悩んだが、温泉も引いている「海上館」で頂くことにした。
刺身、茹で、焼き、天ぷら、雑炊…。次から次への運ばれてくる竹崎カニ料理でテーブルはすぐいっぱいになった。
とにかくデカい!ワタリガニと言う先入観からは想像できない大きさだった。
そして何と言っても味の特長はミソ。夏だから雄ガニの身肉が甘い時期だったはずなんだけど、それにしてもミソが脳髄に染みた。
毛ガニを超えて、宮古島で食べたヤシガニに近い濃厚さ。ほぐした身をミソに絡めながら食べるとまさに至福。
カニはやっぱり焼きより茹でたほうが美味しいと思う。身がふっくらジューシー、旨味も濃くなっている気がする。

あと、カニを食べているといつものことなんだけどお酒に手を伸ばしている暇がない。
基本的に手はベトベトになるのでお猪口を触るのがちょっと気がひけるのだ。いざ呑んでみてもお酒がカニのスープみたいな風味に感じられる。
そして気がつくとお腹いっぱいでアルコールの入る隙間がなくなっているのだ。
お酒を呑めなかったことに「あ〜あ」「また今日もやっちゃった」みたいな雰囲気が漂って、
「またカニに夢中になっちゃって」「あなた周りが何も見えなくなるのね」みたいな、恥ずかしい性癖が白日のもとにさらされたような羞恥心が湧いてきてしまう。
カニと向き合うときはいつも複雑な心境なんです。そう、カニコンプレックス。

そういえば食後に冷たい水をお願いしようとしたら、カニと水はお腹を下すんでやめといたほうがいいですよ、とのこと。
カニは体を冷やす効果があって、それに冷たい水を合わせるとお腹がゆるくなっちゃうそう。知らなかった…。

宿泊したのは有明海を望む部屋。インテリアには漁師旅館以上のこだわりをにじませる。こういう感じのところ増えました。

コンパクトながら広めのテラスと露天風呂。イマドキである。真夏の陽射しがなければゆっくり湯船に浸かりたいところ。

温泉が期待していたよりもずいぶん良かった。ぬるめの単純泉がフレッシュで気持ちよく、泡つきもあった。

有明海の夕焼けを見ながらの入浴。空いているしこれは気持ちよかった。

さて夕食。これはウミタケ。

とんでもないボリュームの刺身盛り合わせ。いちばん左下にある白身がカイリ(サカタザメ)。初めて食べたけどもっちりしていて結構美味しかった。右上には竹崎カニの刺身。

まず蒸しガニ。ワタリガニってこんなに大きかったっけ?と思うほど立派な一杯。ミソの濃厚さが抜群に美味しくて、身を絡めながら食べた。これはまた食べたい。

有明海の真エビ。芝エビのこと。

有明海のクルマエビ。高級食材が続く。

そろそろ煮魚で終わりかと思っていたらやってきた焼き竹崎カニ。思わず「あっ、焼いたんですね。」とこぼれた。フードファイトの様相を呈してくる。

有明海のくっぞこ。舌平目のこと。

こちらは有明海特産のマジャク(アナジャコ)。ホヤのようなかぐわしい磯の香り、食感はソフトシェルクラブ、シャコよりも濃厚な旨味があってかなりの大好物。