FURUSATO JOURNEY故郷を探して

2021.07.03
熱海・伊豆山の土石流と伊豆山神社

大変なことになってしまいました。
僕の実家は熱海の伊豆山です。SNSのタイムラインに、とつぜん、見慣れた建物が土砂で薙ぎ倒されていく映像が流れてきて目を疑いました。両親ともなかなか連絡がつかず焦りました。日常的に使う道路なのでその場に巻き込まれていても何らおかしくありません。

幸いなことに今回の土砂崩れとは谷筋が違っていて、実家・両親ともに無事ではありました。が、いつも散歩したり車で通っていた場所が跡形も無くなってしまいました。両親の知人の家や商店もたくさんあったところです。被害の全貌が明らかになるにはまだまだ時間がかかりそうで、土砂に埋もれて無茶苦茶になってしまった光景に胸が痛んで仕方ありません。

祖父の代から移り住んだと聞いている伊豆山。
目の前には伊豆の海、背後には山。その山間には温泉の神様、走湯大権現が祀られる伊豆山神社が鎮座しています。源頼朝と北条政子はここで逢瀬を重ねたと言われ、土砂で埋もれてしまった赤い「逢初橋」はそれにちなんだ名称です。歩いて5分のところに星野リゾートの界熱海、東急ハーヴェスト。自然も歴史も豊かで、人々ものんびりしたいいところなんです。

しかし急峻な山肌を削りとって無理に宅地や生活道路をつくったような場所で、いつかこういうことが起こってしまうんじゃないかと、正直不安はありました。リゾートマンションとかぎゅうぎゅうに建ってるんだもの。

実家の方に土砂がこなかったのは単に運が良かっただけ。そう思う一方で、崩落地点と実家の間には先ほど触れた伊豆山神社があります。現在の場所に遷座したのは836年と言われ、修験者たちの求心力を集めた時代もある由緒ある神社です。
たびたび地崩れ崩落が起きてきたであろう伊豆山の地。先人たちも可能な限り安全な場所を選ぼうとしたはずだし、その後も針葉樹と広葉樹の混交林にするなど現在に至るまで水源涵養の手入れもしっかり為されてきたことでしょう。そして地面は崩れなかった。

正直、伊豆山神社が守ってくれたと感じています。まだまだ油断できない状況が続くと思いますが、落ち着くことができたら、はやく御礼を伝えに行きたいと思っています。

実家から眺めた伊豆山の海。はやくあの平穏が戻ってきますように。