2019年9月6日、豊岡演劇祭が船出の日を迎えました。
城崎温泉やコウノトリの野生復帰で有名な「小さな世界都市」を目指す豊岡市。ミラノ万博の時をはじめ、東京にいながら何故かちょくちょく地名を耳にする気に掛かるエリアでした。
豊岡市は、豊岡に移住された平田オリザさん率いるこの演劇祭を「まちづくりのための演劇祭」として位置付け、産官学で連携しながら地方経営のいろんな課題解決につながるトライアルを実装したものにしようとしています。地元企業・団体はもちろん押しも押されぬ日本の大企業も複数参画していたりと、どこかとてつもない可能性を感じさせてくれます。
2020年の第1回を視野に入れながら、2019年は規模を抑えた第0回としていろんなチャレンジ、シミュレーションが盛り込んでありました。
今回はやや急ぎ足の2泊3日、演劇だけでなく山陰の食の魅力も盛り込んだ行程に。
ほぼSNSへポストした文章ですが、以下にまとめて掲載しておきます。サイドの写真と合わせて現地の雰囲気を感じ取ってもらえればと思います。
[9/6(金)18:00 城崎温泉・小林屋旅館とをり鶴にて]
夕方の羽田発の便に乗り、伊丹空港経由で但馬空港へ17:30着。その後タクシーで25分、城崎温泉へ。
少しずつ日が落ちてくる中、温泉街では浴衣着にからんころんと下駄の音が響き始めます。川沿いのしだれ柳が風に揺れてなんとも言えない風情。
観劇のあとに外湯で汗を流して、鮨をつまんで、みたいなのはここだけのとっても贅沢な過ごし方かも。
城崎温泉に来たなら絶対に立ち寄りたいのが老舗鮨店「をり鶴」。密かに通ってますがとっても素晴らしいです。三代目は銀座久兵衛で修行されたとのことで江戸前握り。カウンターで魚の話を聞きながら頂けるのは僕にとっていちばんの贅沢でありがたく幸せです。(ほんと面倒ですみません)
山陰の地物がほとんどで、東京ではなかなか見かけないものばかり。城崎温泉というと冬のカニがまず第一に思い浮かぶけど、それ以外のシーズンもヒラマサやシマアジの青背魚、ヨコワ、あこう(キジハタ)、トリ貝など相当に楽しめます。
城崎温泉の鮮魚店がこれまたとってもクオリティ高いので素材はどれも間違いなく一級品。
[9/7(土) 12:00 城崎温泉・海中苑にて]
午前中は公演がなく、起き抜けまんだら湯での朝風呂のあとは山陰の食めぐり。
9月の山陰といえば底びき漁解禁、ハタハタの水揚げスタート。
とにかく昨晩からずっとハタハタを食べている。握り、塩焼き、唐揚げ、煮付け。すでに何尾食べただろう。
山陰に足を運ぶようになって一番感動したのがハタハタかもしれない。噛んだ時にジュワッと口の中にひろがるスープとプリプリコリコリした食感がとても小気味よく、ハタハタが朝どれで食べられる土地の人がすごく羨ましい。
演劇観ている時間だけが演劇祭というわけでもなく、お目当てのプログラムの合間で、豊岡の数えきれない魅力を堪能できるのもこの演劇祭の特長かもしれません。
[9/8(日) 13:00 出石からのバスにて]
城下町出石に移動。明治34年開館、近畿最古の芝居小屋・永楽館で『柿喰う客』の公演。演劇のためだけのスペシャルな空間、圧倒的な熱量とスピード。我を忘れるカンゲキ。
豊岡駅まで戻るバスの車窓、黄金色に色づき始めた田園風景を見ていた。乗客みんなけっこう見ている。
「コウノトリが飛んでるかもしれない」、豊岡にいる時にはいつもそんな気持ちがどこかにある。両翼広げて2mもある巨鳥、日本では一度いなくなってしまった自然再生のシンボルが、すぐそこらへんを羽ばたいてたりする。そんなまちは他に知らない。
見かけると、御利益というか、何かいいことがありそうな気がして、ついつい探してしまうのだ。