FOOD FOR CREATIVE頭を遊ばせる時間

2022.09.28
シリーズ 懐かしの郷土食(1)

インスタの方にアップしていた郷土食の記録をこちらにも。
数回に分けてご紹介していきます。(過去記事から再登場のものもあります)

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宮古島編
「ヤシガニ」
また食べたい度☆☆☆☆☆+(5/5オーバー。但し13年以上先。)

宮古島の「割烹 魚宮楽尚」さんにて。
ヤシガニは想像を飛び越えていた。とんでもなく美味かったんです。ほぐした身をミソにどっぷりつけてかぶりつく。衝撃的に濃厚なうま味が記憶にこびりついて離れない。バカになりそうでした。捕獲したあと栄養価の高いフルーツとかタンパク質を1ヶ月以上与えながら旨味とコクを引き出しているそうです。
ヤシガニは50年生きて、30kgを持ち上げる。ハサミの力は336kgで、なんとライオンの噛む力以上。宮古島での呼び名はマクガンで、強さの象徴。
ヤシガニは乱獲が問題。お店での方からは13年以上育ったものしか捕獲しないと聞きました。なので次に食べられるのは13年以上先のこと。気長にその日を待つことにします。

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有明海編1
「ワケノシンノスの唐揚げ」
また食べたい度☆☆☆☆(4/5)

干潟に生息するイシワケイソギンチャクですね。ワケノシンノスとは、若いもん(ワケノ)の尻の穴(シンノス)、という意味。
クニュッ、コリッと美味しいんです。塩胡椒でお酒のアテにばっちり。柳川の夜明け茶屋さんにて。

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「まじゃくの唐揚げ」
また食べたい度☆☆☆☆☆+(5/5以上)

まじゃくはアナジャコのことです。地域によってはしゃくとも言いますね。シャコではなくヤドカリの仲間。実は東京湾や伊勢湾にもいます。穴に毛筆を突っ込んで挟んだところを引っこ抜く漁法でも知られていますね。
有明海に近づくと居酒屋に顔を表します。ぼくはこれが大好物。丸揚げを頭ごとしゃくっと食べます。口の中で殻とミソと身肉が混ざり合って、エビとカニとシャコとホヤの真ん中にいるような絶妙な味わい。奥さんも大好物で、お店で見かけるとオーダーせずにいられない一品です。

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指宿編
「ボウズコンニャクフライ」
また食べたい度☆☆☆☆(4/5)

標準和名ボウズコンニャク。ほんと?って感じですがそうみたいです。
主に千葉県以南の太平洋側で生息しているようですが流通しませんね。写真は鹿児島・指宿の料理屋さんで出会ったもので、ここ以外では見かけたことがないです。沼津でまれに出回ると耳にしたことはありますが。底曳の漁師さんとかは手に入るのかしら。
繊細な白身の魚で、絹っぽいしっとり感が美味なのではないでしょうか。煮ても焼いても美味しそう。この時は少し塩味が強かったので、薄味で食べられるとよりキャラクターがわかりそうな気がします。それは次回の楽しみに。

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八戸・陸奥湊編
「平目漬丼」
また食べたい度☆☆☆☆☆(5/5)

八戸から電車で15分の陸奥湊駅。駅前朝市の「イサバのカッチャ(魚売りのお母さん」の元気な呼び込みを通り抜けた先にある「みなと食堂」の名物漁師飯。卵黄と平目、ごはんをざっくり混ぜながら。空腹に沁み渡るとびきり贅沢な朝ごはん!

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南房総・千倉編
「アワビ稚貝おどり」
また食べたい度☆☆☆☆(4/5)

だいぶ長いこと通わせてもらっている南房総最古の寿司店「大徳家」さんにて。
千葉県のブランド認定をもらっている千倉産「房州黒あわび」は有名ですね。アワビ稚貝にレモンを絞ると酸が堪えるらしくもんどりうちはじめます。そこをいただくわけですね。稚貝なだけ身質が繊細で柔らかい気がします。産地ならではのこんな食べ方も面白いもんです。

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愛媛・愛南編
「鯛そうめん」
また食べたい度☆☆☆☆☆(5/5)

写真は愛媛・愛南町の「漁家民宿海人(みんと)」さんにて。わが家で登場する鯛そうめんはこちらでのインスパイアがあってのものです。
真鯛を中央に据え、素麺や錦糸卵を周りにあしらって瀬戸内の海を表現する。お祝いの郷土料理だったみたいです。確かにこんなん出してもらったら興奮する。
めんつゆに鯛をほぐして、脂がうっすら溶け込んだところに素麺を浸してすするんです。鯛の皮目も一緒に口に入れましょう。カリカリに焼けた皮目にめんつゆがジュワッと溶けてね。もうなんとも。
あとはご自宅でお試しください!できますから。

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八丈島編
「島ずし」
また食べたい度☆☆☆☆☆(5/5)

島ずしは伊豆七島の郷土料理です。トビウオ、カンパチ、メダイ、オナガダイなどの島魚を唐辛子醤油に漬け込んだ握り寿司。ワサビではなく練り辛子を薬味とするのが特徴ですね。八丈島でもあちこちで食べられますが、一番のお気に入りは「梁山泊」さんのもの。ネタはどれでも美味しいけど、やっぱりオナガダイが一番好きかな。写真右下のは「はんばのり」の甘辛く煮付けた握りです。これまた大好物。
この郷土料理は八丈島からの移民を通じて大東島に伝わり、あちらでも「べっこうずし」として現在も郷土料理となっています。沖縄本島の国際通り近くにも頂けるお店がありますね。海の道をたどる旅も面白いもんです。

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ヤシガニの蒸したもの

宮古島「魚宮」

わけのしんのす(イソギンチャク!)

まじゃく

ぼうずこんにゃく

ヒラメの漬け丼

あわび稚貝の踊り

鯛そうめん

島ずし