FISH DREAM魚に魅せられて

2019.11.16
とほつあふみ(遠つ淡海)の「どうまん蟹」

浜名湖、舘山寺温泉に寄る。

浜名湖にはちょっと気になる幻の蟹というやつがいて、「どうまん蟹」と呼ばれてます。標準和名はトゲノコギリガザミ。
ガザミとは明らかに異なる体躯の厚みとハサミの強大さ。ハサミのパワーは握力換算で800kg〜1tにもなるらしい。ちなみにライオンの噛む力は約300kg。人の指くらいは簡単に飛んでしまうわけで…。
旨味の強さは有明海の竹崎カニ(こちらはガザミ)に近く、濃厚さでは竹崎カニ、ベタベタしないサッパリ感が美味しかったのがどうまん蟹でしょうか。
地球活動を追いかけられて、まわりに縄文遺跡がいっぱいあって、生物多様性がやばいぐらい高い。最近は潟湖が面白くて仕方がない。

古代の浜名湖を調べてみると、古称は「とほつあふみ(遠つ淡海)」で、都に近い淡海=琵琶湖(近つ淡海=近江)に対し、都から遠い淡海=浜名湖の意。
そのあと音が変化して「とおとうみ(遠江)」から遠州へ。
ちなみにフグ皮の内側にあるゼラチン質の部分も「とおとうみ」と言うのだけど、これは身皮(三河)の隣にあるならとおとうみ(遠江)だろう、という遊び心でつけられた名前。

先人たちはお茶目でおおらかだ。

舘山寺温泉、星のリゾート界よりゴンドラをみる。朝夕のマヅメ時にはシーバス釣り師がやってくる。

どうまん蟹との邂逅。浜松駅前の郷土料理屋「魚魚一(とといち)」さんにあらかじめお願いしておいた。これで800gくらい。
ワタリガニとは明らかに違う体躯の厚み。猛獣のような威圧感がある。

ハサミは「切る」というより「すりつぶす」ような形をしている。臼歯がハサミに並んでいる感じ。

ギザギザ感がノコギリぽい。

浜名湖沿いの物産展で生きているどうまん蟹を見かけた。すべて紐でハサミを振り回せないよう結ばれている。逃げ出したら大変なことになりそうだ。

浜松駅前、浜松科学館を見学。浜名湖の潟湖としての歴史をわかりやすく辿ることができてオススメ。

小さな水族館、ウオット。小さいながらも飼育員さんたちの情熱が素晴らしい展示になっている。