FOOD FOR CREATIVE頭を遊ばせる時間

2016.10.08
「どんちっち」を探して 郷土料理「もと家」

「どんちっち三魚」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
もともとは島根県の石見神楽のお囃子で使われていた幼児言葉だったそうです。
http://hama-uosyo.com/modules/brand/content0001.html

現在、浜田で獲れたアジ、ノドグロ、カレイを指して「どんちっちアジ」「どんちっちノドグロ」「どんちっちカレイ」と称し、ブランド化されています。
東京ではほとんどお目にかかることができないのですが、ときどき大手の百貨店とか、古い魚屋さん(恵比寿ストアの魚屋さんとか)で扱うことがあります。
僕はこのどんちっちの大ファンで、すっかりその味の虜になっているのです。

浜田までは行けずとも、同じ島根ならどんちっちが腹いっぱい食べられるに違いない…!
しかし探してみると出雲~松江エリアでは扱っている店が少なく苦労しました(同じ島根なのに)。後で聞いた話には、どんちっちの取り扱いを許可されている先は地元でもそうとう限られているとのこと。
タクシーで走ってたら偶然店先にどんちっちの文字を発見!
たどり着いたのが「郷土料理 もと家」さんでした。

暖簾をくぐると、偶然この日は日本酒オール半額デーだったらしい。助かります。
煮たサルボウ貝や刺身をつまみながらどんちっちを待つ。
席をともにした地元のおっちゃんたち、店の大将が松江のことを教えてくれます。食べる暇がないぐらい。

そしてやってきた、念願のどんちっちノドグロ煮魚。35cmくらい。どんちっちはサイズの大きさも特徴ですって。
そもそも脂が旨いノドグロですが、濃いめの煮ダレに溶け込むシルクのような脂が絶品です。大きくて食べ応えもあるから夢見心地です。

どんちっちブランドの味の特徴は、アジもそうですが、とにかく脂のノリが違う。香りもいい。
箸を入れるとじゅわっと滲み出す、香ばしい脂がとにかく美味なのです。

どこかでどんちっちの文字を見かけたら是非食べてみてください。

郷土料理屋感たっぷり。店先の「どんちっち」の文字を見つけて即決め。

川京さんよりは広々、スッキリ。手描きの黒板メニューにその日のオススメが書いてある。この日のどんちっちはノドグロ。あと月に一度の日本酒半額デー。

サルボウ貝の煮たやつ。赤貝の仲間なので、そのような味。

刺身でアジ、サンマ。どんちっちでなくとも美味い。脂の乗りがいい。

常連さんオススメのどんちっちノドグロの煮付け。とろける白身は悶絶する美味さ。無口で食べる。