ここまた知る人ぞ知る、遊子水荷浦(ゆすみずがうら)の段畑(だんばた)。『耕して天に至る』と形容される段々畑だ。半農半漁の暮らしを物語る日本農村百景のひとつ。
石を積み上げた急斜面ではジャガイモやタマネギを栽培している。少し顔を上げれば眼前には宇和海のパノラマ。
かつての暮らしに思いを馳せてみる。早朝から作物を手入れしながら大粒の汗をかく。やっと一息ついて、楽しみにしていた握り飯を頬張りながら、ふと顔をあげてなんとなく見渡すこの風景はなんとも清々しいだろう。その瞬間から得られる癒しまでをも含めて、このようにデザインしたのではないかとも思える。誇りになる原風景や空間は、人を律し、励ます。人間のパワーはほんとすごい。そう思ったらやっちゃうやつもいる気がする。
そうそう、段畑を縦横無尽に縫うモノレールがある。エンジン音を響かせながら、収穫したタマネギを積んでじいちゃんが勇壮に行き来していた。
えーーーっと、重力はどこにいったんだっけ。