WORKS進行中のプロジェクトや実績など

2022.01.16
2021年を振り返る

あまりの忙殺にひさびさの更新になりました…。
2022年もよろしくお願いします。コロナにうんざりしていますがなんとか元気です。

2021年のソウツはどうだったかと言いますと、日本各地のミュージアム、特に自然科学系の案件にどっぷり浸かった年でした。
マンモス展の影響もあるかしら。あとは、南西諸島の世界自然遺産認定がありましたからね。認定されたエリアはいくつかの島にまたがってるのですが、あの島も、この島も、という感じで、1地域を除いてそれ以外は何らかの形で関わらせてもらっています。(極端に業界がせまいのか、、やりたいと手を挙げる人が少ないのか、、)

世界自然遺産とか国立公園とか、個人的に強く興味のある領域なのですが、正直かなり大変です(僕の足りないところも多い)。難易度高いし、かかる責任の大きさも感じます。だから僕だけでなくクライアントも制作側も一緒にやってるチーム全員がまじで大変。僕なんて楽してる方なんだと思う。みんなほんと尊敬しております…。

世界自然遺産や国立公園の価値を展示で紹介しようとすると、内容は例外なくとにかく複雑で、いろんな領域が輻輳したものになってきます。単体の生きものや文化を紹介するということではなく、地球活動、地形・地質、生態系と生物多様性、民俗文化、種々の地球環境問題etc...それらすべてがどのように関係して、世界でそこにしかない価値を生み出しているか、ということですから。専門知識を持たない観光客とか地元の方(特に子ども・若者!)に興味を持って理解を深めてもらうために、展示で何を伝え体感してもらうべきなのか。難しすぎるとそもそも見てもらえないし、簡単すぎても価値を説明しきれないし…。落とし所は簡単には決まりません。いろんなジャンルの専門家・研究者の方に関わっていただいて勉強しながら、紆余曲折を経ながら、粘り強くみんなで答えを探す作業なんです。

なので、僕たちが生きている地球や生命や文化の仕組みのようなことについて、目から鱗が落ちるような知識が得られるという極上のご褒美はあります。
どうしてあの地域の魚や野菜は美味しいのか?なんで不思議なお祭りや年中行事が根付いているのか?どうしてその場所にだけ生息する生きものがいるのか?その理由が少しずつたどれるようになるんです。
僕はとにかく地方めぐりで食・風景を体感するのが最大の趣味、というか、そのついでに生きてるようなものですから、そういう意味では僕がやるべきなのかもしれません。

というわけで、今年から来年にかけて、お手伝いしている施設がいくつもオープンを控えています。コロナによってオープン延期中のものもいくつか。僕の血と汗と涙の結晶ですので何卒よろしくお願いします。笑
Facebookではなるべくお知らせするようにしてますが、こちらのWebサイトもできるだけタイムリーに更新したいと思います。


写真は2021年に行ったところで心に留まったものたちです。もうだいぶ昔のような感覚で不思議ですね。

3月の南房総。いつもあたたかく迎え入れてくれる皆さんにはとても感謝してます。僕は1歳の誕生日に親が連れてきてくれた千倉で初めて二本の足で立ったそうです。なので何となく3月に来たくなるんだよな。

豊岡の玄武洞。この柱状節理が大好きで仕方ない。ああ、豊岡に行きたい…「をり鶴」の寿司を食べたい…。

4月の伊勢志摩、朝熊山(あさまやま)山頂より。正面奥に見えるのは伊良湖岬や答志島です。
この伊勢志摩の海の幸が豊富な理由がとっても面白くて、すごくざっくりいうと、木曽三川から流れ込んだ豊富な栄養分を含んだ三河湾の冷たい海水は伊勢半島沿岸で温かい黒潮と混ざり合って絶妙に海の生きものの生育に適した海水をつくるんです。遠浅でゴツゴツした岩場の海底地形も、豊富な海藻とアワビを育みます。

4月に行った鹿児島、吹上温泉のみどり荘です。みどり池に面したこの掛け流し露天風呂は最高でした。泉質はシャキッとして最高。西の横綱と言われるだけあります。絶対にまた行きたい。

南さつま、笠沙半島から眺めた東シナ海です。この時期は緊急事態宣言で全然外出できなかった時期で、めちゃくちゃ鬱憤が溜まってました。この風景のスケール、島のように吹き付ける風には、まじで魂が癒された記憶があります。

こちらも笠沙半島の風景。正面の島がなんとなくは虫類のような、芋虫のような。不思議な生きもののように見えて気に入ってしまった。

7月に岡山での会議ついでに寄らせてもらった下津井港。我が家では下津井の真蛸が一番のお気に入りで、いつか下津井港を訪ねてみたいと思っていたので念願叶った。こんな小さい海域から獲れたタコが広尾の明治屋でレギュラーで並んでるって、なんかすごく不思議な感じでした。宿泊した「下津井亭」で頂いた下津井たこのフルコースは絶品でした。特にタコしゃぶかな。

9月の伊豆大島。あいにくの天気。伊豆大島はあまり注目されてないけど、かなり特殊なところです。まだ若い火山島で、溶岩跡に徐々に生えてくる植物の遷移がとても興味深いです。「いつか森になる道」ってネーミング、すごく素敵じゃないですか?
ちなみにですが、伊豆大島火山の大規模噴火は概ね240年に一回で発生しています。前回は1777年の「安永の大噴火」。心の準備をしておく必要があります。

沖縄の嘉手納町と読谷村の間を流れる「比謝川」です。沖縄で最大の流域面積を誇る川です。沖縄って川のイメージありませんよね。でもすごく面白いところなんです。川の北側の地質はやんばると同じく古い時代の千枚岩、南側は隆起サンゴに由来する琉球石灰岩。これがそれぞれの植生の違いを生んでいて、川沿いではいろんな生物種が観察できるんです。

南魚沼の貝掛温泉です。少なくとも半年に一回はここのぬる湯に浸からないと。身体の不調を何度も治してもらったことがある、まさに霊泉です。こういうのがかつての温泉信仰につながったんですね。自ら実感しています。

貝掛温泉で見かけた光景。アオダイショウの尻尾に枝葉が絡みついていて、大切に運んでいるように見えました。偶然なのでしょうが、ヘビが何かの儀式に使うのかと思わせるような不思議な光景で、すっかり興奮して素っ裸で写真を撮りました。笑

取材で訪れた答志島です。島に降り立った瞬間、心地よい潮の香りが鼻腔をくすぐりました。ちりめん干しが島のあちこちで行われていたのです。これはまさに「香りの島」。あの香りを嗅ぎにもう一度行きたい。
ちなみに、有名なブランド魚「答志島トロさわら」は評判通りの絶品でした。刺身、一夜干し、カツ、どれも最高の美味さ。

世界自然遺産、徳之島です。奄美大島のすぐ隣ですが、山がちな大島に対して徳之島は平坦が多い地形です。このため農業が盛んで、そのために「砂糖地獄」とも呼ばれる薩摩藩の圧政に苦しんだ歴史があります。暮らしのすぐ間近に世界自然遺産の森があって、濃密な生命の気配を感じることができます。

夜の森。キノボリトカゲが枝にしがみついて居眠りしていました。あまりの可愛さに人格が崩壊しそうになりました。

こちらも夜の森。徳之島の固有種、オビトカゲモドキです。季節的に難しいかと思いましたが、運よく出会うことができました。すっくと立った姿勢がなんて愛おしいんだ…。

徳之島、大昔の塩田跡。使われていたのは江戸時代らしいけど、起源はよくわからないらしい。隆起サンゴ礁由来の凸凹な琉球石灰岩地形を人の手で削って、こういう海水を蒸発させるためのプールをたくさん作ったそうです。

これも徳之島。海岸にこんな岩がいくつもそびえたっています。不思議な風景。

11月、2年ぶりに熱海・伊豆山の実家に帰ることができました。7月にはすぐ近くで土砂崩れがあった、本当にハラハラしました。

11月、三条市は下田村の八木ヶ鼻です。この絶壁を見るとなんか元気が出るんですよね。久しぶりに馴染みの秘湯宿・嵐渓荘に顔を出せてよかったです。

ずっと来てみたかったイサム・ノグチ庭園美術館。石って本当に面白いマテリアルですね。そのままでも、地球活動が生み出した自然の芸術品だと思う。展示施設の計画を知り合いの大先輩が手がけていたと聞いてそれもまたびっくり。

年末は南魚沼の里山十帖で。大雪で上越線が止まってしまい、すっかり閉じ込められてしまいました。疲れた心身に染み渡る風景と温泉、クリエイティビティあふれる料理。伺うたびにたくさんのインスピレーションをもらえる気がします。