JAPAN SENSES日本のすがた・かたち

2016.10.08
神話の時代・紀元前から続く出雲大社へ

本当は旧暦の話ですが、日本中が十月神無月になるとき、出雲の地だけが神在月になると言われています。
日本中の八百万の神様がすべて出雲に集まってしまうから、神無月。
今年は八百万の神様がたに合わせて僕も参拝に訪れました。

オオクニヌシの国譲りやスサノオノミコトのヤマタノオロチ退治などの様々な日本神話エピソードの舞台となっている出雲は、日本土着の民族が天皇系である高天原の天孫族に国譲りを行なった土地です。(とはいえオオクニヌシもスサノオノミコトの孫ですが)
天孫族へ国を譲る代わりに出雲の地に大社を建てて自らを祀るようにと言った、と古事記や日本書記には綴られています。
島根県には日本人の重要なルーツが隠されているような気がして、ずっと気になっていたわけです。
島根県は島(日本)の根っこ(はじまりの場所)とも言うようですし。


出雲大社が正確にいつごろ建立されたのかわかっていません。
文献などに残っているのが1300年ほど前からですが、出土品の銅鐸などは紀元前のものもあるらしいので、そのルーツをたどり切ることはできません。
かつての職人たちが用いていた設計図には、48mもの高さがあったことが示されています。すべて木造で、当時の技術で、果たしてそんな建築物が可能だったか?現代でも、その検証に多くの歴史学者や建築家が取り組んでいるそうです。

大きなお社の下にたち、神様へお辞儀をしてからくぐり、参道を歩いていきます。
ゆるやかに起伏し緑が覆いかぶさる参道は、紀元前から僕たちの祖先が同じように歩いた道です。まっすぐ大社に向かいます。

やがて大きな注連縄が現れます。その奥には大きな大きな出雲大社が。ここに祀られているのがオオクニヌシ。
ちなみにスサノオノミコトはここにはいません。荒ぶる(乱暴者の)神だったので、後ろの方にまわされてしまったのです。
出雲では2礼、4拍手、1礼がルールです。

オオクニヌシは縁結びの神とされていて、老若男女のカップルも多く見られました。ちなみに縁結びとは男女の仲だけではなくて、自己実現や仕事の成功も縁のおかげと捉え、それらを成就させてくれるそうです。

参拝を終えると、古代出雲歴史博物館へ。
素晴らしい展示でしっかり2時間見入ってしまった。縄文まで遡っての古代出雲の地歴、時代とともに形を変え、塩分濃度も変化する宍道湖に寄り添うかつての人々の生活に思いをはせる楽しさ。
1000年以上前の出雲の土地の言い伝えや生物相、暮らしぶりを編纂した「出雲国風土記」は必ず読んでみようと思います。


参拝の締めには出雲蕎麦を。

三色蕎麦と釜揚げ蕎麦の二種類ありますが、両方食べました。
三色蕎麦は割子蕎麦で、通常量の盛り蕎麦が3つの椀に分けて給されるもの。椀ごとに乗っかっている具材が異なります。

釜揚げ蕎麦には最初味が付いておらず、好みでダシ醤油を加えるスタイル。ドロドロの蕎麦湯に蕎麦を入れて食べてるみたい(なんか普通のことを言ってる?)で、最初はいまひとつ良さがわかりませんでした。
ですが、後半からじわじわと素朴な味わいが癖になってきます。これはこれでハマる素朴な旨さ。
定番は三色蕎麦なんでしょうが、個人的にはこちらを推したい。

もし機会がありましたら是非どうぞ。

出雲大社の正門鳥居。勢溜(せいだまり)とも言うそうだ。

勢溜からまっすぐ表参道が続く。ずっと遠くにも大きな門が見える。

社へ向かってまっすぐに伸びる松並木の参道。すべて樹齢は数百年だそうだ。

「松の馬路」。中央の参道はかつて貴族や勅使が通り、一般人は脇の側道を歩いたようだ。

大国主(オオクニヌシ)と木花咲耶(コノハナサクヤヒメ)の婚礼の誓いの図。手前には因幡の白兎が。

やがて拝殿が見えてくる。

拝殿には大きな注連縄が。

裏手には「八足門」。この奥に御本殿がある。お参りはこちらから。

中には入れないので、八足門手前から奥の御本殿をうかがう。

格子塀のすきまから、御本殿をのぞいたところ。圧倒的木造建築。細部まで見ているとクラクラしてくる。すごすぎる。

引いたおみくじは木に結びつける。縁結びのご利益を願う老若男女。

御本殿の裏手には「素鵞社(そがのやしろ)」。スサノオノミコトが祀られています。暴れん坊だったので御本殿には入れてもらえず、裏手に回されてしまったとのこと。

社の近景。

御本殿には近づけないが、圧倒的スケール感、影響力はここまで伝わってくる。これが紀元前からあるっていうのだからたまらない。

こちら「神楽殿(かぐらでん)」。日本最大級の注連縄は、長さ約13.5m、重さ約4.4トンだそうだ。

近づくほどに大迫力。

断面には金網が張られていて、その中には硬貨が。つくったときに入れたのだろうか。

神楽殿内部から、外を見る。

島根県立古代出雲歴史博物館。ここが素晴らしいミュージアムだった。

エントランスロビーにて、ロゴバナー。

かつての御本殿は、いっとき高さ48mにまで達したとの記録もある。こちらはその再現模型。

数年前に御本殿を支えた御柱が敷地内から発掘された。3本の大木を組み合わせて一本の柱としている。

800年くらい前の出雲大社近辺。

1300年くらい前の出雲大社近辺の地図。こんなのが残っているなんてすごすぎる。

発掘された銅剣と、レプリカ。当時は権威の象徴だった。

発掘された銅鐸。こちらは祭事などに用いられていたらしい。

参拝と見学を終え、門前町の見学。それなりに商業化。勾玉屋さんが多かったが、どうにもソソられないのは僕だけだろうか。

出雲そばの三色変わりそば。麺の特徴としては、色が濃く、ややモソモソ気味。田舎そば好きにはウケそう。

釜揚げ出雲そば。この状態では蕎麦湯にそばが入っているだけ。脇になるめんつゆを加えながら食べる。最初は味気ないが、これがじわじわうまくなってくる不思議。次、食べるなら冷たいそばではなくこちら。