本当は旧暦の話ですが、日本中が十月神無月になるとき、出雲の地だけが神在月になると言われています。
日本中の八百万の神様がすべて出雲に集まってしまうから、神無月。
今年は八百万の神様がたに合わせて僕も参拝に訪れました。
オオクニヌシの国譲りやスサノオノミコトのヤマタノオロチ退治などの様々な日本神話エピソードの舞台となっている出雲は、日本土着の民族が天皇系である高天原の天孫族に国譲りを行なった土地です。(とはいえオオクニヌシもスサノオノミコトの孫ですが)
天孫族へ国を譲る代わりに出雲の地に大社を建てて自らを祀るようにと言った、と古事記や日本書記には綴られています。
島根県には日本人の重要なルーツが隠されているような気がして、ずっと気になっていたわけです。
島根県は島(日本)の根っこ(はじまりの場所)とも言うようですし。
出雲大社が正確にいつごろ建立されたのかわかっていません。
文献などに残っているのが1300年ほど前からですが、出土品の銅鐸などは紀元前のものもあるらしいので、そのルーツをたどり切ることはできません。
かつての職人たちが用いていた設計図には、48mもの高さがあったことが示されています。すべて木造で、当時の技術で、果たしてそんな建築物が可能だったか?現代でも、その検証に多くの歴史学者や建築家が取り組んでいるそうです。
大きなお社の下にたち、神様へお辞儀をしてからくぐり、参道を歩いていきます。
ゆるやかに起伏し緑が覆いかぶさる参道は、紀元前から僕たちの祖先が同じように歩いた道です。まっすぐ大社に向かいます。
やがて大きな注連縄が現れます。その奥には大きな大きな出雲大社が。ここに祀られているのがオオクニヌシ。
ちなみにスサノオノミコトはここにはいません。荒ぶる(乱暴者の)神だったので、後ろの方にまわされてしまったのです。
出雲では2礼、4拍手、1礼がルールです。
オオクニヌシは縁結びの神とされていて、老若男女のカップルも多く見られました。ちなみに縁結びとは男女の仲だけではなくて、自己実現や仕事の成功も縁のおかげと捉え、それらを成就させてくれるそうです。
参拝を終えると、古代出雲歴史博物館へ。
素晴らしい展示でしっかり2時間見入ってしまった。縄文まで遡っての古代出雲の地歴、時代とともに形を変え、塩分濃度も変化する宍道湖に寄り添うかつての人々の生活に思いをはせる楽しさ。
1000年以上前の出雲の土地の言い伝えや生物相、暮らしぶりを編纂した「出雲国風土記」は必ず読んでみようと思います。
参拝の締めには出雲蕎麦を。
三色蕎麦と釜揚げ蕎麦の二種類ありますが、両方食べました。
三色蕎麦は割子蕎麦で、通常量の盛り蕎麦が3つの椀に分けて給されるもの。椀ごとに乗っかっている具材が異なります。
釜揚げ蕎麦には最初味が付いておらず、好みでダシ醤油を加えるスタイル。ドロドロの蕎麦湯に蕎麦を入れて食べてるみたい(なんか普通のことを言ってる?)で、最初はいまひとつ良さがわかりませんでした。
ですが、後半からじわじわと素朴な味わいが癖になってきます。これはこれでハマる素朴な旨さ。
定番は三色蕎麦なんでしょうが、個人的にはこちらを推したい。
もし機会がありましたら是非どうぞ。