日本最古の温泉、道後温泉。
その歴史は遡ること3,000年以上とのこと。
古くはあの聖徳太子も来浴していたり、本館には皇室専用の浴室があったりする。歴史の古さと由緒の正しさは折り紙付きだ。
『千と千尋の神隠し』のモチーフになったとも言われる本館はやはり特別な存在感がある。
道後温泉で特徴的なのは入浴+休憩がセットになるところ。
湯上がり後には、風通しのいい2階の大広間や3階の個室で汗が引くまでゆっくりする。ひとり一人にスペースが割られているので雑然とした感じにならず、場が美しく保たれるのが嬉しい。ちなみにお茶とお菓子の接待付き。
お湯は源泉掛け流し、弱アルカリ単純泉で溶存物質は260mg/kgくらい。なので、数値の上ではだいぶあっさりしているお湯。でも浸かってみると案外のぼせやすいし、上がったあとも身体の不調箇所が火照った感じになる。やっぱり今の数字じゃ測れない何かがあるような気がする…。
昨年オープンした別館にもあたる「飛鳥乃湯泉」は、飛鳥時代の道後をテーマにこの地域の伝統工芸アートを空間全体に取り入れている。ちなみに男湯にある砥部焼の巨大壁画(銭湯絵みたいなもの)にはプロジェクションマッピングで石鎚山の四季が投映される。のぼせながらもついつい眺めてしまう。
格調高い方に振っていった温泉体験としてなかなか面白い。
湯上がり後に温泉街を歩いていると、ところどころに句が刻まれた石碑を見かけた。一遍上人や種田山頭火、額田王など錚々たる面々が道後温泉について詠んだものだ。そんなに大きくない温泉街だけど、時間を持て余したらこういうのを探し歩くのもなかなか楽しいかもしれない。
ずんぶり 湯の中の 顔と顔笑ふ
種田山頭火