JAPAN SENSES日本のすがた・かたち

2017.10.09
過ぎゆくもの、イガグリ風情

過日の西土佐、野山を歩けば山栗のイガが足下を埋め尽くすように落ちていた。産直販売所でも、ネットに入った大粒の栗が山積状態。山のものが一斉に旬を迎えたのだ。

野性味溢れる山栗はいかにも美味しそう。思わず買い求め、わざわざ東京へ持ち帰り、渋皮煮にする。ワイルドでうまい。三分の一くらいは虫食いだったり、不出来なもので、食べられない。
もっと食べたいなあと思い、西土佐へ問い合わせてみる。しかし、もうない。


旬は一瞬で通り過ぎていく。だからこそ心に残るのかもしれない。鮮やかな感動と幾ばくかの後悔と。

閃光のように刺々しいイガグリは、まるで花火のようだとも思った。