栃木県小山市の間々田地区に伝わる奇祭「じゃがまいた」(国の重要無形民俗文化財)。
間々田八幡宮で待っていると、「ジャーガマイタ、ジャガマイタ」の掛け声とともに7町の「蛇(じゃ)」が集まってきました。
よく見ると蛇の頭は各町ですべて異なっています。
不思議な響きが頭に残るこのお祭りは毎年5月5日に行われます。記録が残るのは400年ほど前からで、起源ははっきりしないようですが、田植えの時期を前に五穀豊穣や疫病退散を祈願すると伝えられているそうです。コロナ以降開催見送りとなっていましたがとうとう今年から再開。(ただし一般参加は最低限)
祭りの主役は間々田地区の子供たち。先輩たちに教わりながら自分たちで手作りした巨大な蛇を担いで、「ジャーガマイタ、ジャガマイタ」の可愛らしいかけ声とともに町中を練り歩く。特に八幡宮境内の弁天池で執り行われる「水呑みの儀」は蛇に神聖な水を飲ませるため、担ぎ手も一緒に池へ飛び込みます。池の中で水しぶきを上げながら暴れ回る蛇はなんとも勇壮です。
かつては男性だけが蛇を担げたそうですが、時代の変化や担ぎ手不足もあり、今は女性が担ぐ町も。
他地域のお祭りと同様、じゃがまいたもまた蛇の原材料の調達、技術の継承、移住者との関係性など多くの課題に直面しています。各町ごとに個性ある蛇づくりの手法、行事の進行方法等々もほぼ口頭伝承で伝えられてきたので、特に今回みたいに数年途絶えただけでも、祭りを知る人がごっそりいなくなって途端に存続が難しくなってしまう…。
400年を超えて、人と人のつながりが祭りをつないで、祭りが人と人をつないできた。間違いなく波瀾万丈だったはずの循環の歴史。その結晶に触れられたような2023年5月5日の体験でした。