東京から秋田新幹線「こまち」で揺られること3時間半、田沢湖駅に到着する。
今回は盛岡へ寄ったが、本当は東京から乗り換えなしでOK。
田沢湖駅からは路線バスで乳頭温泉郷へ向かう。途中田沢湖を経由するが、この日本一深いとされる湖がたいそう美しい。静謐な水面には対岸の山々がキレイに映り込んでいる。厳冬期の透き通るような青白さは、息を呑むような神秘性を孕んでいた。
揺られること30分ちょっと、アルパこまくさという温泉施設で下車。ここからは鶴の湯の送迎バスに乗り込む。
まさに豪雪地帯、高い雪壁になっている道をさらに15分ほど登ると、宿泊先の「鶴の湯別館・山の宿」だ。
本陣は古き良き日本の雪国のふるさとといった風情だが、別館は山小屋のような雰囲気。
どちらも予約は困難で、今回は偶然にキャンセルが出た瞬間に部屋を確保できた。
乳頭温泉郷・鶴の湯を「日本一の秘湯」として賞賛する人は数多い。
都会暮らしの現代人の心を掴むなんとも言えない古き良き日本の風情、そして底知れない源泉の魅力によるものだろう。
名物の「山の芋鍋」を囲炉裏でいただく夕餉もたいそう人気だとか。
山の宿から本陣までは、送迎バスが1時間に一本程度出ている。
さっそく浸かった日本で一番有名な混浴露天風呂は、10m×15mほどの広さ。周囲には数メートルの雪が積み上がっている。
飛び交う言語は、秋田弁、関西弁、標準語、若者言葉、英語、韓国語、中国語など。
老若男女、国籍も様々な人々が温泉に浸かりながら談笑している風景はなんとも印象的だ。温泉で人も文化も混ざり合っている。
足下からはブクブクと泡が出ている。
これは底から源泉が自然湧出している証拠だ。泡の様子を見るとかなりの湧出量だと思う。
群馬の法師温泉も同じく足下湧出だが、比べ物にならないほどの湯量を感じた。泡の近くが特等席かな。
それにしても、これはたしかに素晴らしいお湯だ…。
湯沢の貝掛温泉でも感じるが、濃い薄いとか、溶存物質なんやらの数値で測れないお湯の力があると確信する。相性とかかも知れない。
劇的に体調良くなったり、お医者さんでも治せなかった不調が改善するお湯がしばしばある。
共通点としては、かなり歴史が古くて、お薬師さまが祀られているところ。
そんなお湯とまだまだたくさん出会いたいものだ。