FOOD FOR CREATIVE頭を遊ばせる時間

2018.10.21
食材探訪記 西日本編(随時更新) ​

●島根・浜田の「どんちっち」
美味しい干物を探していると、必ず「どんちっち」に行き当たる。島根県・浜田港に水揚されるマアジは他産地のものより脂肪含有量が高く、旬の4〜9月には10%を超え、時には15%を超えることもあるそうだ(一般のアジは3.5%)。
島根で食べた刺身も美味かったし、東京駅の大丸地下で購入した干物が脂たっぷり、ジューシーで美味かった。ちなみにどんちっちブランドにはこの他に「どんちっちノドグロ」「どんちっちカレイ」がある。ノドグロの煮付けは松江で食べたが、脂たっぷりで確かに絶品。次はカレイを試してみたいと画策中。

●岡山の「ままチョビ」
知る人ぞ知る岡山の郷土料理「ままかり」は、小型の魚・サッパを丸ごと食べられる酢漬けにしたもの。ままかり寿司などは程よい酸味とシャリの甘みが引き合って大好きな一品だ。このサッパを酢漬けにせず塩とオリーブオイルでアンチョビ風に仕上げたのが「ままチョビ」。アンチョビほど塩気が強くなくフレッシュ感が前に出てくるので、わが家ではパスタやポテトサラダなどに大活躍している。お土産にしても喜ばれるかわらしいパッケージも魅力。
無印良品でも取り扱っているみたいなので、簡単に入手できるのもいい。

☆岡山の「プレミアムこはだ」
岡山で衝撃を受けた食べ物ナンバーワン。サッパよりも大きくなるコハダで作った酢漬けなのだが、コハダのしっとりフワフワ、キメの細かい身質がとてつもなく美味しい。季節によって少し身の食感が変わる気がする。春ぐらいのが1番美味しかった。酢漬けとはいえ酸が強すぎないのもお気に入り。同シリーズで「プレミアムままかり」もあるのだが、味のインパクトではこちらに軍配が上がる。あちこちお土産で買っていくが、やはりみんな想像を超える美味しさに驚くようです。なぜか通販で購入することができず(お店に直接アプローチすれば買えると思うが)、岡山に行って入手するしかない。新幹線改札内のお土産店でも売っているので、そこで買うのがオススメ。商品の回転が早いからか賞味期限がちょっとだけ長くなっている。

☆小豆島の「手延べパスタ」
香川県小豆島は手延べそうめんとオリーブで有名な瀬戸内に浮かぶ島。オリーブ農園を持つ「井上誠耕園」が地元の素麺屋さんにオーダーし、伝統の手延べ製法で作ってもらったという「手延べパスタ」。太さは一般的なスパゲティと一緒くらい。乾麺なのだけどツルツル&モチモチした食感があたかも生麺のようで、初めて食べたときはすごく驚いた。茹で時間が3分弱程度なので、半乾燥くらいになっているのかもしれない。薄い黄色のプレーンとオリーブを練りこんだ緑色の二種類があり、それぞれ細麺と平麺がラインナップされている。
どんなソースにも合う抜群に美味しい麺で、もはや普通の乾麺になかなか戻れないのが悩み。やはりプレーンの細麺が汎用性が高く、消費スピードが早いか。数ヶ月に一度にまとめて取り寄せています。

●小豆島の「新漬けオリーブ」
例年10月初旬から出回る小豆島産の新漬けオリーブ。みずみずしい果肉感と甘く魅惑的な香りがクセになります。出始めのフレッシュな感じのやつもいいし、数ヶ月経ったくらいのまったりとしてきたやつも香りが立ってうまい。限定品なので予約するなどして早めに入手しておいたほうが吉。粗みじんに砕いてパスタに合わせるのがお気に入り。もちろんそのまま食べても特別な美味しさ。

☆徳島・小野製麺の「手延べ半田めん 国産小麦100%」
そうめん作りで有名な徳島県美馬郡つるぎ町(旧半田町)。そうめんづくりを営んでいる家が約30軒あり、そのうち半田地区でつくられたものだけを『半田そうめん』と称する。一般的なそうめんより太く、明らかに強いコシがあってシコシコした食感が特徴的。半田めんの中にもいくつか種類があるのだが、小野製麺の「国産小麦100%」が最も歯ごたえがあり、香りもよいので一番のお気に入り。
めんつゆで食べてもよし、ぶっかけもよし、つけ麺風にしてもよし。パスタのように炒めるのも美味しい。夏の食欲のない時期にもこれなら食べたい、という気分にさせる秘密兵器のような食材。ちなみに都内でも広尾の明治屋とか紀伊国屋とかで何度か見かけたことがある。僕同様に根強いファンがあちこちにいるようだ。

●高知・馬路村の「ゆずパッパ」
高知県は馬路村はゆずの特産地。「ゆずパッパ」は、乾燥させたゆずの皮を顆粒にして瓶詰めしたもの。乾燥しているのだが料理に振り掛けるとたちまちフレッシュな香りが立ち上ってくる。料理の仕上げで少しだけ柑橘の香りが欲しい時に重宝。塩と一緒に豆腐にかけたり、半田めんと合わせたりする。ちなみに馬路村のゆずドリンク「ごっくん馬路村」も素晴らしく美味しいので機会があればぜひお試しを。

●佐賀・有明海の「がん漬け」
遠藤ケイさんに教えてもらった幻の調味料。シオマネキを殻ごと砕いて塩辛にしたもので、粗く砕いたものと練ってペースト状にしたものの2タイプがある。クリーム系のパスタに入れたり、味噌汁に溶かして磯汁にしたり、豆腐に乗せたり。単品では塩気も強くクセのある食材だが、クリエイティビティを大いに刺激してくれる逸品。近年ではシオマネキの漁獲量が減って通販ではほとんど手に入らなくなった…のだが、先日佐賀・鹿島に足を伸ばした際にはあちこちで販売していた。しかも沢ガニを使ったものや、真ガニを使ったものなど色々なバリエーションがある。歓喜して大量購入してしまったのは言うまでもない。

☆佐賀・有明海の「こんとび」
有明海は日本一の海苔生産地で、特に佐賀側はブランディングがかなり進んでいる。数枚で目が飛び出るような金額になるものも少なくない。東京の丸山海苔店を通じて入手している「こんとび」は青のりが混ざった味と香りにパンチのある海苔。なんとなく野生的な感じがする味わいで、「昔の海苔に一番似ている」とも言われるそうだ。香りの強い海苔が好きな人なら、きっと気に入ると思う。
ちなみに丸山海苔店は毎週海苔を役日が決まっていて、あらかじめオーダーしておけば焼きたてのものを届けてくれる。乾物とはいえやっぱり焼きたてが明らかに味が良い。

●屋久島・けい水産の「トビウオ薫製」
屋久島で出会った燻製屋さん。もとはトビウオ漁に出ていた漁師さんで、いろんな事情があり燻製屋を始めることになったのが10年近く前。当時はプレハブ小屋でのスタートだったようだが、今では立派な店舗併設工場も立っている。お店に入ると店主が丁寧に商品の説明をしてくれた。図鑑をめくりながら、試食を勧めてくれながら、楽しい時間を過ごした。店舗の内にも外にもサクラチップの芳しい香りが溢れている。ベンチャーならではの自由な雰囲気と心の底から楽しんでる感じが伝わってきてすごくよかった。
家に帰って食べてみると、とてもフレッシュ感のある燻製で全然しょっぱくない。そのままでもいいし、トマトと合わせてパスタにしても美味しかった。この他にも3種類のトビウオ燻製が入ったお茶漬けセットというのも入手してきた。これはまだ食べていないので、追って報告したいと思います。

☆加計呂麻島の「さんご塩」
奄美大島に行った際になんとなく気になって買ってみた「さんご塩」。これがミネラルの甘苦さがじわじわくる抜群に美味しい絶品だった。その製法は、平釜を使い太平洋から取り入れた海水を二昼夜かけて薪で焚き、海水を結晶化させ、さらに太陽の光にさらして自然乾燥させるという昔ながらのもの。わりと粗い塩なので水分には溶けづらく、肉や魚、野菜、豆腐などに振って食べるのがいいように思う。
全然量が生産できないらしく(のんびり作っているらしく)、通販ではほとんど出回っていない。現地に行って塩爺から購入するか、奄美のスーパーなどに電話で聞いてみて入手するか。でも苦労して手に入れる分の価値はあると思う。

●沖縄・恩納村の「ドラゴンフルーツの蕾」
恩納村の道の駅にある「なかゆくい市場」は、沖縄の野菜が勢ぞろい。産直市場ファンなら垂涎もののスポットだ。ここでは変わった野菜が色々手に入るのだが、特に面白かったのが「ドラゴンフルーツの蕾」。POPには天ぷらやフライにすると美味しいとある。
早速フライに調理してみると、これが思いがけぬ美味しさ。想像していたようなクセは全くなく、オクラのようなネバネバ感と、ザクザクした歯ざわりが楽しい食材だ。シンプルに塩で食べるのが美味しいと思う。

どんちっちノドグロ。そもそも脂が多いノドグロだがさらにとろけるよう。

沢ガニのがん漬け。がに漬けとも言うみたいだがどこで別れるんだろう?

屋久島のけいすいさん。オーナーが一つひとつ商品を説明してくれた。

三種類の燻製を味わう生茶漬け。

キレドのカーボロネロとトビウオ燻製のパスタ。脇にあるのはキレド野菜のクールブイヨンとフリーデンのベーコンのスープ。

ドラゴンフルーツの蕾のフリット。結構食べ応えがある。

恩納村の市場でドラゴンフルーツの蕾の食べ方を紹介していたPOP。