紀伊すさみ、「あきば何求庵(なんぐうあん)」。きのくに建築賞2017。
南紀にはなかなか心惹かれる宿泊施設が見つからなかったけれど、ここはいかにも個性的で気になった場所。
ホームページからもオリジナリティがばしばし伝わってくる。
周参見の駅から海を背にして、山の方へ集落を登っていく。
細い細い道を抜けた先、山を背中に抱えてひっそりと佇んでいる。
1日に宿泊できるのは2組のみ。
それぞれに趣が異なる2部屋が用意されている。
ちなみに貸切の浴室もコンセプト違いで2つ。
食事はオーナーご自身による手造り。
地元の食材をふんだんに用い、味付けも穏やか。
器のセレクトやテーブルコーディネートにもセンスが溢れ、素晴らしいレベルにあった。
そして何よりもマテリアルづかいが秀逸。
壁も天井も和紙貼りで光の柔らかさが違う。和むけど凛とした表情を持つ日本らしい空間。
無垢の床材はなぐり仕上げで実に立体的。素足で歩くとなんとも心地よい。
目にうつくしいのはもちろん、ふと何気なく触ったところに感動がある。
まさに、これ以上何を求めることがあるだろう。