POWER OF SPRING温泉力をもらいに

2018.12.30
聖域の水に浸かる「よしが浦温泉 ランプの宿」

能登半島最北端の秘湯、よしが浦温泉・ランプの宿に到着。
創業は16世紀後半、館主は平家系の刀禰(とね)水軍の末裔だとか。かつては船でしかアクセスできなかったらしい。
宿正面の荒ぶる日本海、波打ち際では大量の波の華が渦を巻いて舞い散っている。

ここはどちらかというと温泉よりも敷地内からの湧き水(鉱泉)が有名で、世界でも例がない113年腐らず飲用できる状態が保たれた「聖域の水」として話題になった。腐らない水で有名なのはキリスト教の聖水として有名な「ルルドの水」で、これも5年が限界。強い殺菌作用を持つ塩素イオンが豊富に含まれているので"たぶん"それが働いているのだろうと、現代科学をもってしても推測の域を出ないという。全部わからないところがオモシロイのだ。

そんな事実をつゆ知らずとも、効能はずっと昔から評判だったようで江戸時代から湯治場として人々に愛されていたそうだ。特にマムシの解毒作用が有名で、アトピーや皮膚病への治癒効果も高い。
実際にこの湧水を沸かした風呂に入ってみたが、温泉とはまた異なる不思議な香りと、意外にボリュームある浴感でなかなかの湯心地だった。

最近では核シェルターはじめ備蓄用の水としてヨーロッパを中心に世界中から引き合いがあるんですって。
日本あちこち、まだまだ知らないものだらけ。

ランプの宿へのアプローチはこの崖を専用車で降らなければならない。途中でスイッチバックもあったりしてスリル満点。
入江から吹き上げてくる暴風雪に吹き飛ばされそうになる。

送迎車の待合所には宿と周辺施設の案内パネルが。パンチの効いたカラーリングとちらほら見えてくるフレーズに一抹の不安を覚える。

エントランス。さっきのグラフィックに比べると外観はおとなしめの庄屋づくり風。

入ってすぐ、帳場のあたり。右手は男女の大浴場、奥はダイニングになってる。

宿泊した離れに向かう廊下。日本ともアジアともヨーロッパとも違う、というか全部が入り混ざったような独特の世界観。ちょっとシェンムーを思い出した。

離れの部屋「波の離宮」。名前が少しこそばゆい。窓の外には荒れに荒れている日本海。流石にこんな日にデッキに出ようという気持ちは普通生まれない。出たけど。

部屋には階段箪笥があった。

ランプは灯油ではなくエレクトリック方式である。

デッキに出た。風雪が冷たい。波がそこまで来ていてちょっと怖い。これが夜になると…

プールが妖しくライトアップされる。どこかの国のセレブ風リゾート風。どこで切り取っても独特である。

浴室。大窓は気持ちいい。天候が荒れていなければ窓を開けたりしても気持ちよさそう。

噂の湧き水が満たされている。温泉とはちょっと違う香り。上がった後も少し湯あたりしてるんじゃないかという浴感。そんな成分がコックはないと思うんだけど、不思議だ。

男性の大浴場。

外に出ると露天風呂。ダイナミックな日本海の荒波を眼前に。写真中央あたりに浮遊しているのは波の華。塩の塊でもある泡が渦を巻いて露天風呂に飛来してくるのだ。肌につくとちょっとベタつくので躱すので必死。

波の華アップ。荒波が岩にぶつかってできた飛沫が泡立ってできた、いわば海水のメレンゲみたいなものか。北国の厳寒期にしか見られないので貴重といえば貴重。

ナトリウム-塩化物泉で溶存物質は3,300mg/kgなので割と濃厚な温泉。湧出量が0.49l/minなので温泉だけで浴槽を満たすのは無理。湧水で割っているのだろう。

これが湧き水。けっこうドバドバ出ていた。この貴重な資源はぜひ将来に繋いでほしいものです。

食事のシーンをちょっとだけ。こちらはダイニング。

甘エビの蒸したやつが柚子の中に収まっていた。

能登牛(のとうし)のせいろ蒸し。

二日目の昼食で出してもらった能登牛丼。普段はほぼ食べない料理なので意外と新鮮でうまかった。

岬ではノリが取れるらしい。ランプの宿ネームで黒ノリを販売していた。食事でも出してもらったけど卵かけご飯にトッピングして美味しかったです。