FISH DREAM魚に魅せられて

2018.07.29
琵琶湖八珍を探して 近江八幡「酒と肴 おはな」「ひさご寿し」

湖国・近江八幡へ、「琵琶湖八珍」を探しに来た。

琵琶湖八珍は、琵琶湖の環境と食文化の特質を表すビワマス、ホンモロコ、ビワヨシノボリ、じょき(ニゴロブナ)、イサザ(以上5種は固有種)、スジエビ、コアユ、ハスを指して言う。こういうブランドづくりは上手だと思う。

「酒と肴 おはな」にてホンモロコ焼き、じょき造り、イサザ鍋(じゅんじゅん)、スジエビのサラダをいただく。まず4珍。
ホンモロコは相変わらず絶品だ。むかし京都駅の裏手にある割烹で食べた醤油焼きが超絶にうまかったのを思い出した。鮎に似ているけど、フワッと柔らかい身と腸は似て非なる滋味深さ。
イサザはいわゆる素魚(ハゼの稚魚)で、これまたすこぶる味が濃い。柳川風で頂いたが、どじょうよりもパンチのある味。これまた野趣あふれる感じでとても美味。

ニゴロブナはやはり鮒鮨が一番好きかも。少し淡水魚の香りがあるかな。。
ついでに頼んだ「琵琶湖ハイボール」は湖水のブルーをラムネで見立てたもの。

地元でも評価が高い「ひさご寿し」。
地物を中心におまかせでお願いしてみる。
小鮎、ビワマス、鮒ずしの握り、ニゴイなど。海の京都の食材も間に挟んでくれた。
他の地域では間違いなく食べられないレア食材が次々と繰り出される。個人的な知的刺激はとんでもないボリューム感。


湖の食材は生臭さが気になる人が多いと思うが、どこの料理屋さんに行ってもそれをカバーするいろんな工夫をしているのが面白い。
豪雪地帯で真冬を楽しく暮らす知恵がたくさん生まれるのと似たようなもの。
持続的に資源を得るために「ないときはない」「1日で出す量は決めているんです」ときっぱり言えるのも素晴らしいなと思った。

人間は知恵を絞り、ゆっくり倫理観を成熟させていく。
やがて自然との調和は高次に至る。

近江八幡駅からほど近く、住宅街の中にポツンとある「酒と肴 おはな」。琵琶湖の食材を楽しめる店として人気だそうだ。

カウンターの脇に陣取らせてもらう。観光客の姿はなく、地元のおっちゃんたちばかり。

なれずし、いさざ、赤こんにゃくといった地物の言葉が踊るメニュー。楽しい。

小えびのサラダ。

本もろこ焼き。むかし京都の割烹で食べた鮮烈なうまさは忘れられない。ほろ苦さと身のふわっとした柔らかさ。

琵琶湖ハイボール。色を琵琶湖ブルーに見立てたそうだ。

ニゴロブナの造り。臭みはない。こっくりとした濃厚な白身。

小鮎のフライ。小鮎は琵琶湖の固有種で、10cm程度にしか成長しない鮎。

イサザ鍋。イサザはゴリやハゼの仲間。ほっくりとした濃厚な味が出る。

イサザ鍋。どじょう鍋のもうちょっと食べやすい感じ。

ひさご寿し。カウンターの隣では全国紙が取材に来ていた。何かとリアクションが大きく笑えた。

小鮎。コハダのように軽く酢で締めてある。滑らかな舌触りがうまい。

ビワマス。サクラマス(イワナ)が降海型なのに対して、ビワマスは「降湖型」。琵琶湖を海と勘違いして登り降りするうちに固有種となったもの。

鮒ずしの握り。鮨を鮨にするというユニークな発想。大阪や京都で食べる鮒寿司のチーズのような味わいに対して、琵琶湖周辺では漁師料理っぽい荒々しさが魅力。

丹後のヒラメ。

ニゴイ。軽く蒸してツメでいただく。僕はちょっと湖っぽさが気になったが、嫁さんは一番うまかったそうだ。

舞鶴湾のトリガイ。舞鶴湾ではトリガイが通常の2倍近いサイズに育つ。近いので活きの良さも素晴らしい。