FISH DREAM魚に魅せられて

2018.08.29
有明海の幸に失神寸前!「夜明茶屋」

有明海の幸にたいへんな感激。

というか好奇心が満たされて泣いた。人間やっててよかった。
場所は福岡県、柳川の「夜明茶屋」。老舗の魚屋さんがやってる呑み屋さん。
初めて食べるものばかり、噂に違わぬ美味ばかり。
感動と情報量が多すぎて思わずフリーズ。

お店の様子や食べたものは画像のコメントを。

お店外観。正面は魚屋さんになっていて、有明海の幸がずらり。

オヤジさんがとってもサービス精神旺盛な方で、エツやワラスボ、ムツゴロウをわざわざとって見せてくれた。

ムツゴロウ。干潟の上ではいたるところでピョコピョコ動き回っている。近づくと一気に隠れてしまうのだが。この大きな背びれが干潟の風になびく姿が鮮やかで美しく、忘れられない。

ワラスボ。よく見ると口の上部にゴマ粒のような目が二つついているのがわかるだろうか。これに気づいてしまうと、エイリアンというより一気に愛嬌ある存在に。軟体動物のようにぬるぬるしている。

こちらはエツ。筑後川にしか生息しない幻の魚とされる。この時並んでいたのは有明海にまで降ったもので、かなり大きくなっている。本当は5〜7月に筑後川で獲れるのが小ぶりだが美味しいらしい。

地ハマグリ。ふだん僕たちが口にしているのはほとんどが「チョウセン(汀線)ハマグリ」という種。生息地の減少で、地ハマグリは今やほとんど出回らない希少種。別名「ホンハマ」とも言う。

マジャク(アナジャコ)。干潟に穴を開けて棲んでいる甲殻類。かつては(今も?)穴に毛筆をそっと差し込んで、それを掴んだ瞬間に引き抜くという漁をしていたそうだ。いつかやってみたい。

シャコ。こちらではシャッパと呼ぶようだ。今はオスの旬。これを見てオーダーしないわけにはいかない!

居酒屋スペースへ移動。壁には地元テレビ局のレポーターさんの色紙がずらり。メニューに書かれたコピーの訴求力が強すぎて頭がクラクラする。

手前がワラスボ、奥がムツゴロウの姿造り。ムツゴロウはまだ口をパクパクしている状態。ワラスボは食感は塩辛に似ている?ムツゴロウは脂気のあるハゼの感じ。どちらも臭みは全くなく、美味しい。ちなみにムツゴロウの語源は「ムツ(脂っぽい)」+「ゴリ(ハゼ科の俗称)」が変化したもの、だそうだ。へえ〜。

エツの姿造り。身質はサヨリが一番近いか。カタクチイワシ科だけあって、風味はイワシっぽさも感じる。シャキシャキして酢味噌でうまい。

イソギンチャクの唐揚げ。こちらでは「ワケノシンノス」とも俗称される。これは「若い人のお尻の穴」の意味。味はと言うと、コリコリクニュッとした面白い感じ。クセや臭みは全くない。想像以上にうまかった食材。次回は味噌煮でいただきたい。

大好物のシャコ。ハサミがついてきて、自分で殻を剥くスタイル。頭を落として、殻の両サイドを脚ごと切り落として、腹側をめくる。すると中からお馴染みのシャコの身が登場。巷で食べるものとは明らかにフワフワ感ときめ細かさが違う。殻を外すプロセスも含めて口福である。

がね漬け。有明海でなんとかガニ漬けをゲットしたいと鼻息を荒くしていったのだが、割とあちこちで売っていて肩透かし。これはシオマネキの殻が原型のままたくさん残っていて、辛味と塩味が相当に強く残っているタイプ。食べるとボリボリ音がする。玄人向け。

生海苔の刺身。三杯酢で。ふだん口にする海苔は乾燥したものがほとんど。しかも有明海の海苔を生で、となるとレアな体験だ。

ムツゴロウ酒。これはイワナ酒やヤマメ酒、ふぐひれ酒と同じような感じかな。

最初に出てきた姿造りの中骨は唐揚げにしてくれる。至れり尽くせり。油っぽくて完食は厳しかった。

マジャク唐揚げ。丸ごといただける。博多で食べ、太良で食べ、柳川で再三食べてしまうほどハマっている。カニとエビとホヤの合わさったような味で、ホヤに似た爽やかな風味が絶妙。

勢いに乗ってすぼ酒。ワラスボの干物で出汁をとった熱燗。ムツゴロウ酒と味はそんなに変わらないと思う。給されてフタを外した際、この顔が現れるとわかっていてもちょっと驚いた。

次回にとっておくことにした未知との遭遇。飲んだ人は感想教えてください。