FURUSATO JOURNEY故郷を探して

2014.02.22
時空を超える新潟県津南町「農家民宿もりあおがえる」

JR飯山線 森宮野原駅から車で10分ほど

沿道に避けられた雪は3メートル以上の高さになっていて 壁のように道路へ迫ってきます
駅まで迎えに来てくださったオカミさんいわく
今年は気温が高いからねえ、雪がだらしなくって ダレちゃってみっともない
雪壁のてっぺんあたりを見ると確かにふやけたモチみたいになっていて カドが落ちてとろけてる感じ
車は百ノ木の集落へ入っていく

僕はちょうど4年前にこちらの農家民宿へお邪魔しています 十日町の雪まつりに合わせて4日間くらい滞在していました
まさに人生に悩みに悩んでいる時期で 苦笑
農夫であり あたかもソクラテスのように哲学的様相でもあるオヤジさんは
まるで何もわかっていない若者(バカ者)の
世の中に対する疑問や不平不満、青臭すぎる理想をあたたかく聞いてくれて
さまざまなものの見方、捉え方に気づかせてくださったのです

昼間はソリを使った木の伐採に連れ出してくれたり
早朝には「凍みわたり」と言って田んぼの上の真っさらな雪が少しの時間だけ凍りついて その上を歩きまわれるようになるという
とても珍しく雪国の民話のワンシーンのような体験をさせてもらいました
そして夜はひたすら酒を飲んで いろんな話をして 湯たんぽを抱えて寝る

滞在を終え 後ろ髪を引かれながら東京へ戻って
そしてそのすぐあと、東北の震災が起こったのです

まさにこの頃は自分自身の大きな過渡期だったように思われて
一つひとつの出来事やその時の感情をけっこう覚えています どれもが今の自分を構築している重要な記憶です

そんなこともあってか、またこれから もう一度自分を奮い立たせねばならない必要を感じ
今回の旅の締めくくりとして こちらへ寄らせてもらうことにしました
オヤジさんとオカミさんは変わらぬ様子で迎えてくれました あの時と変わらぬ時間も過ごさせてもらいました ヤギのあんずは相変わらずまったく懐かない

自分はどのくらい変わっただろうなあ
でも少しだけ前進はできたかもしれない

むかし いま これからのことを考えながら
また湯たんぽを抱えて眠りました

ソクラテスの親父さんと元気いっぱいの明るい奥様。お二人とお話ししていると素朴で屈託ないなかにとんでもない知性を感じさせられる。

日没直前の雪原。

主人によってあちこち手が加えられた家屋。この場所で生きていくための工夫が随所に。

外から見ると普通の家。庭がむちゃくちゃ広い。もりあおがえるの棲む池がある。

家の中には本がいっぱい。目につくのは植物や野生動物の図鑑、焼き物の本、モダンアートやファッションの本、縄文文化の本、農学書、民俗。

2階から吹き抜けに差し込む光が室内を適度に照らす。

屋号の「もりあおがえる」は、敷地内の池にもりあおがえるがたくさん棲んでいるから、とのこと。

主人自作の焼き物コレクションがお出迎え。

暖炉がうれしい。簡単な焼き物はその上で済ます。

人馴れしてくれないヤギ。近寄るといきり立って突進してくる。