JAPAN SENSES日本のすがた・かたち

2018.10.18
数千年を生きるということ「屋久島の縄文杉」

知る人ぞ知る、屋久島の縄文杉。樹齢は推定2170〜7200年だと聞いた。
荒川登山口から5時間弱のトレッキングと登山を終えて、肩で息をしながら視線を上げる。
そこにはいろんな本やWEBで見た通りの縄文杉が在った。

彼(あるいは彼女)はこの数千年、何を見て感じてきただろう。
津波や地震のような天災。初めて人間と相見えたとき。携帯電話の電波みたいなのを感じたとき。
どんどん加速していく世界の変化をどのように思っているだろうか。
「急な変化はついていけないから勘弁してくれよ」
なんて呟いてるかもしれない。

途方も無い競争を勝ち抜き、数千年を生き抜いてきた強さ。
彼は変わり続けている。
ゆっくりだけど、いい方にも悪い方にも、変わり続けている。
「今」に必死だ。「今」の価値は人も縄文杉も変わらない。

途方も無い競争を勝ち抜き、数千年を生き抜いてきた強さ。
偶然も大きいのだろうが、それ以外にも何かの要因は無いのだろうか。
彼らにとっては時に自らが死ぬことも種をつないでいくための選択肢になる。
それでもこの杉は生きてきた。

生き物が近づくことによる二酸化炭素の上昇とか、風の流れの変化とか、
そういう感度を持っているに違いない。
そうして、自分の周りの世界の変化をゆったりと眺めながら、
生きるための最善策を取り続けるのだ。

さすがにそこまで長く生きた生命体は普段僕の周りに存在しないので、交流の貴重な機会だ。