POWER OF SPRING温泉力をもらいに

2020.07.20
水の世界へ、里山十帖

新潟出張で久しぶりに里山十帖へ行きました。
ひっそりと静まり返った越後湯沢駅で乗り換え、大沢駅へ。
梅雨真っ只中の大沢は濃密な緑の香りに満ちていました。ずいぶん遠ざかっていた気がする全身が喜ぶ香り。

温泉も数ヶ月ぶりでした。
雄大な越後山脈を望み、森の香りとヒグラシの声に包まれながら露天にざぶんと浸かったあの瞬間。温泉が全身に沁み渡っていくような感覚に、感動がオーバーフローするというか何も考えられなくなって、しばし目を開けることができませんでした。この日はなぜか涙もろく再び目の奥が熱くなりました。
あの時の魂が解放されたような感覚はたぶん一生忘れないと思います。

後日ミシュランガイド1つ星を獲得することになるダイニング。
旬真っ盛りの生命力に満ちた夏野菜、そこらの庭や山に生えているハーブ、地物の鮎やアマダイ、そしてメインディッシュは炊き立ての魚沼のお米。冬季には出会えない、でも確かにあの雪解け水が育てた、この時期だけの北国の食材。生産者、シェフ、食べ手それぞれの距離・時間・想いにギャップがほとんど存在しないこと。そこにとびきりの美味しさを感じます。

シーズンは終わり際でしたが、夜には近くの田んぼでゲンジボタルを見ることができました。これも久しぶりだったかな。あの淡くはかない光はなんとも心に沁みるものがあります。

レセプション棟は多くのふすまが開け放たれて、風通しが良く。そういえばこれは冬季では見れない風景だなあと。久々に日本家屋の心地よさを感じました。

梅雨真っ只中です。水に濡れた樹々や土がなんとも濃密なみどりの芳香を漂わせています。思わず深呼吸を何度も繰り返してしまう貧乏性。いや、この香りに飢えてたんだよね。

お気に入りの部屋。デスクで正面の窓を開け放ち、みどりを感じながらWEB会議をやるのがいい気分。たとえ胃が痛くなるような会議であっても…。

この日露天風呂に浸かった瞬間の気持ちよさは一生忘れない気がします。遠くでヒグラシが鳴いていて、野鳥が目の前を行き来する。遠くの山々へ雲がどんどん流れていく。どこかから爽やかないい香りがするなと思ったら、目の前にミントが群生していた。

お湯は一番いいと思うぬるめな内湯。とろみがあって硫黄の香りが温泉らしい温泉。全部飲む勢いで浸かった。

この日のメニュー。トマト、枝豆、ナス、ズッキーニ、鮎、甘鯛などうれしい旬の食材がずらっと。冬に訪れるだけでは出会えない、新潟のこの時期の逸品食材たちです。

新潟には枝豆の在来品種がたくさんあります。香りと味の濃さが一味違う。収穫からなるべく早く調理するのが大事な気がする。

出雲崎や柏崎で今年はアマダイがよくあがっているみたいです。

メインディッシュは魚沼産コシヒカリ。このパリッとした粒の立ち具合、品の良い旨味は最高。龍の瞳も美味しいけどまた違う素晴らしさ。

21時ごろになるとゲンジボタルが飛び始めます。里山十帖から少し坂を登った田んぼで見られます。シーズンは終わり際でしたが、淡く幻想的な光を楽しめました。この感動を忘れていた。日本の里山の夏はいいなあ。

翌日は少しだけ雨足が穏やかになりました。冬の雪囲いがデッキテラスに変身していました。これは思わず感心してしまう設計!

夏の新潟はナス天国。
ここ最近では抜群に美味しかった揚げナスうどん。昼食に出していただきました。

昨晩ホタルを観た田んぼを確認しにいきました。カエルがあちこちに登場。

これはトウモロコシのかき揚げと、アワビ。肝の苦味がトウモロコシの甘味と引き合ってなんとも。

八寸。季節野菜の寿司。シャリはおからになっています。おつまみにもちょうどよく、感激の味わい。この日が初めてだったそうで。

これも新潟県の特産物、ギンバソウのスープ。

鮎と庭のハーブ。細いパスタのようなものはズッキーニ。

柏崎のマダイ、酒蒸しで。付け合わせにモロヘイヤやおかひじきがたっぷり。

濃密な霧が里山全体を包んだ日もありました。

スプーンに乗っているのはミツバチが一生かけて集める蜜の量だそうです。

新潟産の三種の豆。なんかカエルっぽくてかわいい装い。

焼きなすまるごと。手前の黒いのはイカスミのソース。

滞在中はよく鮎を食べました。

朝食。村上産の鮭と、南魚沼の郷土料理・きりざい(野菜の古漬けを細かく刻んで納豆と合わせたもの)。玄米もおいしい。