有明海特産物のひとつに、佐賀県太良町が誇る「竹崎カニ」がある。関東で言うところのワタリガニである。
有明海の広大な干潟に棲む栄養たっぷりのプランクトンを食べるため、格別な甘みがあると言われている。サイズも30cmを超えるとか。
どこで食べるか悩んだが、温泉も引いている「海上館」で頂くことにした。
刺身、茹で、焼き、天ぷら、雑炊…。次から次への運ばれてくる竹崎カニ料理でテーブルはすぐいっぱいになった。
とにかくデカい!ワタリガニと言う先入観からは想像できない大きさだった。
そして何と言っても味の特長はミソ。夏だから雄ガニの身肉が甘い時期だったはずなんだけど、それにしてもミソが脳髄に染みた。
毛ガニを超えて、宮古島で食べたヤシガニに近い濃厚さ。ほぐした身をミソに絡めながら食べるとまさに至福。
カニはやっぱり焼きより茹でたほうが美味しいと思う。身がふっくらジューシー、旨味も濃くなっている気がする。
あと、カニを食べているといつものことなんだけどお酒に手を伸ばしている暇がない。
基本的に手はベトベトになるのでお猪口を触るのがちょっと気がひけるのだ。いざ呑んでみてもお酒がカニのスープみたいな風味に感じられる。
そして気がつくとお腹いっぱいでアルコールの入る隙間がなくなっているのだ。
お酒を呑めなかったことに「あ〜あ」「また今日もやっちゃった」みたいな雰囲気が漂って、
「またカニに夢中になっちゃって」「あなた周りが何も見えなくなるのね」みたいな、恥ずかしい性癖が白日のもとにさらされたような羞恥心が湧いてきてしまう。
カニと向き合うときはいつも複雑な心境なんです。そう、カニコンプレックス。
そういえば食後に冷たい水をお願いしようとしたら、カニと水はお腹を下すんでやめといたほうがいいですよ、とのこと。
カニは体を冷やす効果があって、それに冷たい水を合わせるとお腹がゆるくなっちゃうそう。知らなかった…。